【Q&A】帝王切開の痕症候群の治療かステップアップか~浅田先生【医師監修】

寧々さん (36歳)
二人目不妊気味で昨年秋ごろに通院を始めました。
今年3月上旬まではタイミング法をトライしましたが、妊娠できませんでした。
その後、子宮卵管造影検査で左卵管の通過障害が分かり、右排卵時に人工授精をすることになりました。
今月1回目の人工授精でも妊娠できませんでした。
自分の中では、ステップアップも視野に入れていますが、妊娠率(可能性)を考えると、帝王切開瘢痕症候群のことを先にしっかり治療すべきでしょうか?
もしそうであれば、どういった治療法が有効でしょうか?
それとも、早めのステップアップが良いのでしょうか?ご回答いただけますと幸いです。

浅田先生に聞いてきました

【医師監修】浅田レディースクリニック 浅田義正 先生
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

帝王切開は一般的に子宮の頸部を切開して、そこから赤ちゃんを取り出します。帝王切開瘢痕症候群は切開した部位がうまく治癒せず薄くなってしまい、不妊治療をする際に切開瘢痕(傷跡)のところに頸管粘液が貯留したり、月経時、子宮内に血液が溜まってしまったりして、着床に影響を与える可能性がある場合のことをいいます。そういった場合は改めて切開部を縫い直すこともありますが、帝王切開は非常に一般的ですので、個人差はありますが、不妊治療に影響を与えるような帝王切開瘢痕症候群は、少ないので、あまり心配しなくていいのではないかと思います。

また、子宮卵管造影検査をして左卵管の通過障害が見つかったようですが、片方の卵管が通過障害というのは疑わしい可能性があります。なぜなら検査時に造影剤が流れるとき、抵抗が少ない方に流れるので、管が詰まっていなくても、どちらかの卵管が圧迫されていると片側しか造影剤が流れないこともあるからです。過去には卵管造影検査の半分は結果が間違っていたという発表もありました。そのため、左卵管の通過障害はあまり気にする必要はないと思います。

36歳ですので、人工授精を4~5回行っても結果がでなければ体外受精にステップアップする一般的な不妊治療を行っていけばいいと思いますし、本当に帝王切開瘢痕症候群の手術適応があるなら、手術を検討してください。

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