子宮筋腫の再発で妊娠できるか心配に。今後の治療はどうすれば?
相談者 : マイコさん(39歳)2019 年に子宮筋腫の摘出手術をして経過観察中ですが、最近また筋腫が増えてきたので妊娠できるのか心配です。妊娠を目指すなら、再度切除したほうがよいのでしょうか?結婚1 年目で、今はタイミング法で頑張っていますが、なかなか赤ちゃんを授かりません。私のような場合、タイミング法で妊娠できる可能性はどの程度あるのでしょうか? 主人は人工授精や体外受精をしたがらない状況なのですが、今後どのように治療を進めていけばよいでしょうか。
いくたウィメンズクリニック 生田 克夫 先生 名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室助教授、名古屋市立大学看護学部教授などの経歴を重ねたが、不妊に悩む名古屋の方たちの役に立ちたいという思いで、教育者の立場を辞して独立。地元・名古屋の中心部、栄に開院し、1986 年から体外受精の現場を歩いてきた経験と穏やかな人柄で、数多くの患者さんを妊娠に導く。
過去に子宮筋腫を摘出されていますが、再発することもあるのでしょうか。
生田先生● はい。いくつかある場合は摘出しても3〜4年すると手術時には分からなかったような小さなものが大きくなってしまうんですよ。ですから本来は再発前に徹底的に治療してから妊娠を目指したほうがいいですね。筋腫の大きさにもよりますが、子宮の筋肉の外側にできる分にはそれほど問題ありません。ただ、あまり大きくなると卵巣の位置が変わってきて卵胞の観察ができなくなったり、体外受精で卵巣の位置が悪いと採卵ができません。
まず筋腫を取る、という選択肢も?
生田先生●それもないわけではないですが、術後は短くても3〜4カ月は避妊期間を設けますから、39歳という年齢を考えると、その間に一気に妊娠の確率が下がってしまうのが問題ですね。
今のままタイミング法を続けて、妊娠する可能性はありますか?
生田先生●可能性はかなり低いと思います。年齢の高さに加え筋腫も再発しているので、妊娠する確率が高くなる方法を積極的に選んだほうがいいです。加齢とともに日々、卵子の質は落ちていきます。40歳の時点では、受精卵ができて5日目まで育ったとしても正常な染色体の卵子は3個に1個ですから、2個は着床しないか流産してしまいます。さらに受精卵が胚盤胞まで至る確率は、そこそこ良い受精卵でも2分の1くらい。10個採卵できても胚盤胞が2個できればいいほうで、ベストな胚盤胞になるかはまた別問題です。
マイコさんの場合、救いはAMH が5.5 ng / mlもあることです。数値が高いので卵巣を刺激するとOHSS(卵巣過剰刺激症候群)になるかもしれませんが、まずは多くの卵子に出てきてもらうよう卵巣刺激をしてみる。ご主人の精子は正常のようなので、普通の性交渉より数百倍の精子が卵管に到達する人工授精をするのも一つの手段ですね。
ご主人は今のところ、人工授精や体外受精には消極的なようです。
生田先生●不自然な治療だと嫌がるご主人は結構います。ちゃんとデータ的に丁寧な説明を医者が示すしかないですね。人工授精だけでの妊娠が嫌でしたら、前日や当日に機会をもっても問題ありません。ストレスや緊張による作用も大きく、治療を諦めかけて肩の力が抜けた一般不妊のご夫婦が45歳で妊娠したケースもあるので、治療方法の選択で気分を変えるなど、ご夫婦でよく話し合ってみてはどうでしょうか。