【Q&A】今後の治療方針と転院について~稲垣先生【医師監修】

ぽてとさん(31歳)
現在は専門院でタイミング法をとっています。カバサール、グリコランに加えて、なかなか卵胞が育たないためクロミッドを服用しています。また、減量中です。今周期クロミッドが効いたのか4カ月ぶりに卵胞が育ち、排卵しました。しかし、夫が夜勤のある仕事のため、1日しかタイミングが取れませんでした。
先生からは「薬を飲み続けると効きにくくなる」と言われています。なかなか卵胞が育たないこと、仕事の関係でなかなかタイミングが取れないこと、できれば子どもが2人ほしいことなどを含めて、体外受精も視野に入れています。
しかし、私の住む地域には体外受精をしている不妊クリニックが2つしかなく、現在はそのうちの一つに通っていますが、もっと有名なところ(実績が多いところ)に行った方が良いのか悩んでいます。
仕事のことも考えると県外の病院に行くことは現実的ではないのですが、このままずっと授からなかったらと思うと、不安です。今後の治療の進め方、ステップアップのタイミングや転院した方が良いのかなどについてアドバイスいただきたいです。

【医師監修】いながきレディースクリニック 稲垣 誠 先生 
1994 年、浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院、鹿児島市立病院、聖隷沼津病院などで産婦人科医の経験を重ね、2012 年、不妊治療専門施設「いながきレディースクリニック」を開院。「お一人ひとりに寄り添いながら、それぞれの患者さまに合った最適な治療を心がけています」

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
●クロミッドをはじめ、排卵誘発剤を長期間使用すると効果が薄れますか?
確かに同薬剤を長期にわたって連続して服用すると効果が減弱する方がいらっしゃいます。これには個人差があるように実感しています。服用2周期目に出る方もいれば、1年以上連続して処方していてもキトンと効果が続く方もいます。

●体外受精を視野にいれて転院する場合、どのようなことを判断基準にしてクリニックを選べばよいでしょうか?

「日本産婦人科学会の施設基準を満たしているか?」
「一定数以上の症例があるか?」
「現状ですと先進医療のような、先端医療の導入にある程度積極的かどうか?」
くれぐれもネットの口コミ等には惑わされないようにしていただきたいですね。
●先生なら、どのような検査や治療を提案されますか?
まず、この患者さんが現在受けている治療でカバサールの内服がありますが、いただいた情報からでは服用の根拠がはっきりしません。また、グリコランは確認したところ間違いなくメトホルミン製剤ですが、不妊治療(排卵誘発)時の処方は適応外のはずですが、わたくしの認識不足なのか、患者さまの通院されているご施設の都道府県では認められているのでしょうか。
同様の場合、現在適応があるのはメトグルコのみだと認識していますが、いかがでしょうか。
この患者さまの場合ですと、減量中とのことではありますがやはり高BMIは気になります。
排卵誘発に際してメトホルミンを併用することも効果が期待されますが、栄養指導は受けられているのでしょうか。
62kg(身長151.75cmの場合のBMI25の体重です)を目指した体調管理を並行して頑張っていただきたいですね。
これの関連してHOMA-R(空腹時血糖×インスリン濃度÷405)でインスリン抵抗性の程度を確認し必要であれば内分泌化と連携して糖尿病のチェックも検討します。「耐糖能症」との記載がありますのである程度の検査は受けられているかもしれません。

次のステップアップとも関連しますが、ヒューナー(フーナー)テストの結果でその後の方向性を検討されてもいいのではないでしょうか。

ステップアップのタイミングや今後の治療の進め方についてアドバイスをお願いします。

現在、3か月ごとに治療計画書が更新されていることと思います。こういう機会は治療方針を見直すいいきっかけの一つではないでしょうか。一般に3~6か月実施して結果が出なければ治療方針の見直しを図ったほうが良いといわれており、それにも合致するペースになるのではないでしょうか。
その間(一般不妊治療;タイミング法)にヒューナーテストが行われ、結果により人工授精又は体外受精へと舵を切ることもご検討いただいたらよろしいかと思います。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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