【Q&A】質の良い卵子にするための過ごし方とサプリメントについて~山口先生【医師監修】

asupanmanさん(33歳)

男性不妊が発覚し9/6に採卵予定で体外受精をすることにしました。
私は血液検査で問題点は見つかりませんでした。
甘い考えかもしれませんが、第一子は預け先はないし再婚の夫はすでに社会人の子どもが2人いることもあり、無理をしてまで子どもを欲していないので今回の体外受精で授かりたいと思っています。
採卵してみないと分からないとのことなのでドクターに私は何をしてどう過ごせば卵質があがり確率が上がるのか伺うと、「まだ若いんだから」と言われ禁酒もせずにストレス溜めないように普通に過ごせば良いと言われました。
“もっとこうしておけば良かった”と後悔をしたくありません。
現在葉酸とビタミンDとカルシウムサプリメントを摂取しています。私は他に何をしてどう過ごせば良いでしょうか。
サプリメントについて夫にはクリニックから処方されたシナール配合錠と補中益気湯、アルギニン・カルニチン・ビタミンD・亜鉛・マカ・高麗人参が配合された男性用妊活サプリを飲んでもらっています。
どうぞよろしくお願いいたします。

山口先生にお聞きしました。

【医師監修】山口 剛史 先生 奈良県立医科大学卒業。2007年京都府立医科大学大学院医学研究科 統合医科学専攻、同博士課程修了。公立南丹病院、京都府立与謝の 海病院産婦人科医長などを経て、2010年より醍醐渡辺クリニック勤務。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

卵子の質を評価するのは難しいと思います。体外受精では採卵したときにMⅡ卵子(第2減数分裂を終えて受精可能となった卵子)が認められればそれまでだと思います。未熟卵や変性卵子は体外受精に使えません。asupanmanさんは33歳のようですが子宮や卵巣には器質的な疾患はありませんか?(たとえば子宮内膜症など)かかられているクリニックから頂いてるサプリメントで十分だと思います。

サプリメントを摂取しても卵子などの細胞内へどこまで届いているかわかりません。担当のドクターの意見を聞いて問題無いと思います。2023年9月に体外受精の採卵を予定されているとのことですから初めてのことで気になることは多々あると思います。卵子の質を高める方法、また受精後の胚の質を高める方法は生殖医療に従事する医師にとっても永遠の課題だと思います。

・精子無力症の場合、少しでもARTの成績を上げるためにできる検査や治療はありますか?

精子無力症の場合、運動率が低いので薬物療法も考慮しますがasupanmanさんは体外受精を選択されていますので、速やかなART(生殖補助医療)への移行ということで適当だと思います。精子濃度が、5*10 6 /ml とのことですので射出精子での体外受精となると思います。何度か採取して凍結保存しても良いかも知れません。

検査法は顕微鏡倍率をあげて精子の形態学的選別を行う施設もあります。治療としては、非内分泌療法としては、精子のエネルギー代謝、DNA合成や抗酸化作用に効果を期待した漢方薬やサプリメントが試みられることが多そうです。

・男性に処方されるシナール配合錠や漢方の補中益気湯にはどのような効果があるとされていますか?

男性に処方されるシナール配合錠(ビタミンC)は、抗酸化物質の1つです。活性酸素による酸化ストレスによる精子の老化が抑制されると言われています。補中益気湯はテストステロンの分泌を促す効果があります。男性ホルモンであるテストステロンの分泌が悪いと精子量の減少や運動率の低下が起こるといわれています。

・精子無力症の場合、アルギニン・カルニチン・ビタミンD・マカ・亜鉛などの成分摂取で、治療成績の向上が期待できる可能性はあるのでしょうか?

アルギニンは精子の成熟に必要な成長ホルモンの分泌を促すことで精子数を増やし、精子の運動性に重要な働きをするポリアミン(アミノ酸)を生成することで精子の活動性を高める効果が期待出来ると言われています。

カルニチンは、精子の数や運動率の改善に効果があると言われています。精液のうち、液体部分を「精漿(せいしょう)」と言いますが、乏精子症(精子が少ない)、精子無力症(精子の運動率が悪い)、奇形精子症(正常な形態の精子が少ない)といった患者さんでは、この精漿内のカルニチンの量が少ないという報告があります。カルニチン1日2~3gの補給を3~4か月行うことで精子の質が改善されたという報告や、男性不妊の患者さんが1日2gのカルニチンを2か月間とると、精子濃度や精子の運動率が改善したという報告が複数あるようです。

ビタミンDは精子の運動能力を高め、精子の細胞内へのカルシウム吸収を促すことで精子の受精能力の獲得に関与しています。男性もビタミンD濃度を測定し、不足していれば補充することで精液所見の改善が期待されます。ビタミンDは、紫外線を浴びることにより体内で合成されます。週に2回、5~30分は日光を浴びることが推奨されています。また、食品では、魚類(かつお・まぐろ・あんこう、鮭)、キノコ(きくらげ・しいたけ)などに豊富です。ただし過剰摂取には要注意です。

マカは、現地ペルーでは「アンデスの人参」と呼ばれており、滋養食とされているほど豊富な栄養素を含んでいます。主成分の炭水化物をはじめ、必須アミノ酸・たんぱく質・食物繊維・カルシウム・鉄・亜鉛・ビタミンC・ビタミンEなど、人の身体に必要な栄養素ばかりです。そして、その中には亜鉛も含まれており、その含有量は100gあたり約8gです。
精子の質やEDを改善するアルギニンも配合されているので男性不妊改善のための食材だといっても過言ではないという先生も居られるようです。

亜鉛が男性の性線や前立腺に多く含まれており、精子の産生や男性ホルモンの分泌にも関わっているので大切と言われています。亜鉛はビタミンAの抗酸化作用を促す働きがあり、それにより精子の質をよくすることができるといいます。亜鉛によって分泌が増える男性ホルモンには「テストステロン」があります。テストステロンは精力を維持する働きがあります。

・また、妻側が採卵に備えてできることがあれば教えてください。

aspanman さんが採卵に備えて出来ることに関しては、初めての採卵で悩んで居られると思います。調べると色々な成分に効用がかかれていますので、可能な限り摂取したいと思われるかも知れません。御自身でかなりのサプリメントを摂っておられるようですし、AMHも1.51ng/mL とありますから成熟卵が沢山取れそうです。またasupanmanさんに出産歴がある。あたらしい夫さまとは歳が離れてそうですが、夫さまにもお子さんが居られるとのことから精子力があるような気がします。

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