【Q&A】5回目の移植陰性で次にできることはなんでしょうか?~林先生【医師監修】

はるかぜさん(38歳)

人工授精4回し37歳で体外受精を始めました。1回目は5AAを5日目移植陰性。2回目は4ABをAHAして5日目移植陰性。
3回目はコロナで2週期休んで4BCと4BCをAHAして2個7日目移植。心拍確認できず8週で稽留流産。38才になり、新たに採卵し人工授精をはさんで、4回目は4AAと2ABを5日目移植陰性。再度採卵しタイミング法を挟んで、5回目は5AAと4BCをAHAして5日目移植陰性。採卵のたびにdダイマー上昇してヘパリン注射を1~2週間行ってます。
腹水も起きます。採卵は全てPPOS法。多嚢胞でAMH11. 1。FSH4.2。
体外受精前にth1/th2は問題なし、CD138は4回目人工授精前に内膜そうはし、内膜炎陽性→治療。
流産の際再度検査し内膜炎陽性→治療。精子凝集あるが抗リン脂質抗体検査は陰性。
着床した3回目だけ7日目に移植しているため、着床の窓がずれているのでは?という疑問があったため、着床の窓の検査を相談しましたが、担当医の先生は乗り気ではない様子でした。
保険治療ではあと一回残ってますが、最後の移植をする前にすべき検査はあるでしょうか?

林先生に聞いてきました。

【医師監修】ウィメンズクリニックふじみ野 林 直樹 先生
1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療 センター(川越市)などを経て、現職。「体外受精、顕微授精も高いクオリティで対応していますが、できる限り自然に近い不妊治療をご提供したいと考えています。 患者さんはそれぞれお悩みも違いますから、どんなこと でもまずご相談を。時にはご要望に沿えず、厳しいこと を申し上げるかもしれませんが、常に患者さんにとって ベストな治療法をご一緒に見出したいと思っています」。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください 
◆5日目移植で陰性を繰り返す場合、着床した7日目移植をすべきでしょうか?
文面からは読み取りにくいのですが、ホルモン調整周期での黄体ホルモン製剤開始後、5日目、7日目の移植ということでしょうか。
なぜ3回目の移植において敢えて7日目移植を選択されたのかはわかりませんが、たしかに経過から推測すると着床の窓がずれている可能性は否定できないとは思います。
ERA検査などをおこなってみる、もしくは(根拠は薄いですが)2日ずれていると推定して再度7日目移植をおこなってみるのもありかと存じます。
ただし、最近、ERA検査の意義について疑問視する研究結果が続々と海外から報告されてきていることも事実です。
一方、多嚢胞性卵巣症候群であれば、ホルモン調整周期ではなく、レトロゾール内服による排卵を伴う周期で移植する有用性の報告もありますので、その選択肢もあるかと思います。

◆AMHが高いですが、採卵のたびにDダイマーが高くなるのはOHSSのリスクが高いからですか?

AMHが高い方に限らず、卵巣刺激により多数の卵胞が発育し、卵胞ホルモンが強く上昇してくると採卵後Dダイマーが上昇することもあるでしょう。
ただ採卵のたびにヘパリン注射を1〜2週間行うというのは珍しく、やむをえない特異な事情があるのかとも推察いたします。

PPOSも有用な卵巣刺激法ですが、ヘパリン注射を必要としないように、OHSSを発症しにくい卵巣刺激法選択や注射投与量の見直し、GnRHアナログ製剤によるトリガー法の選択、OHSS発症予防策が大切かと存じます。

◆ヘパリンを使用していますが、血液凝固の影響で着床しにくくなることは考えられるでしょうか?

抗リン脂質抗体検査は陰性とのことですが、最近話題のネオセルフ抗体の検索はおこなっておられるでしょうか
反復流産や反復着床障害の原因として注目されています。

自費検査ですので保険診療での移植とは相容れませんが、将来自費での移植も行っていく場合には検討されてもよいかもしれません。

◆保険診療では最後の胚移植となるようですが、検査・治療歴をご覧になって、先生ならどのようなアドバイスをされますか?

先述以外に付け加えます。サプリメントのDHEAが気になります。
パートナーへの処方でなくご本人への処方だとすると、多嚢胞性卵巣症候群の方はDHEAが高値であることが特徴ですが、本当に摂取する必要はあるのでしょうか。
慢性子宮内膜炎の治療後ですので、子宮内ラクトバシルスの検索(子宮内フローラなど)もしくは検査しないでプロバイオティクス治療も考えてみてもよいかもしれません。
さらに今後自費での採卵治療という段階になるとすると反復不成功の原因としての精子側の要因検索として精子DNA損傷検査、もし損傷が強い場合には男性側診察や、顕微授精の際の良好な精子選別法の導入をお勧めします。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。