tantanさん(31歳)
1人目は自然妊娠とくに問題なく出産しました。
2人目を希望し自然妊娠しましたが10週で稽留流産、その後人工授精で再び妊娠しましたが6週で稽留流産、さらに人工授精で妊娠しましたが8週で稽留流産しました。
3回目の流産の際、胎児の検査を行いましたが胎児には問題ありませんでした。
その後夫婦で不育症検査も受けましたが特に問題なく、遺伝子検査も受けましたが問題ありませんでした。
現在は低AMHなことや精子数が少ないとのことで顕微授精を行い 4AAと4ABの胚盤胞を凍結し、先日4AAを移植しました
が陰性で終わりました。
今後の治療について、PGT-Aを行うべきか悩んでいます。
PGT-Aを行う方が良いのか、このまま体外受精を繰り返すべきか金銭的なこともあり悩んでいます。
また、その他何か受けるべき検査などがあれば教えていただきたいです。
繰り返す流産や、グレードの良い胚盤胞が陰性で終わり、低AMHもありかなり焦ってしまいます。
よろしくお願いします。
広島HARTクリニックの向田哲規先生に伺いました。
本患者は31歳という年齢で1人目は自然出産していますが、その後3回の流産があったとのことで、不育症検査、ご夫婦の染色体検査も実施されており、問題はなかったと記載されています、しかしTh1/Th2.NK細胞活性などはチェックされているのでしょうか?
流産原因の1番目は胚の染色体異数性が関係し、それに対してはPGT-Aによる異数性解析がとても有効です。しかし31才という年齢では異数性の割合はそれほど高くないので3回連続の流産には関係ないのでは?と推測されます。
その次に考えうる原因は子宮の形態、子宮筋腫、内膜症などの子宮に起因する着床不全、流産が考えられます。それらに関しての記載はないのですが指摘されていないので問題ないと推測されます。
出産や流産を経て、免疫的な異常が起こり、それにより流産を繰り返し起こすことが考えられ、抗核抗体。・抗リン脂質抗体症候群もそれを調べる検査になりますが、不育症検査で問題ないとありましたので、前述しましたがそれ以外のTh1/Th2の検索、NK細胞活性の検索も必要ではと思われ、それらに異常があれば、タクロリムス投与、Intralipid点滴、Heparin併用などが有効である場合が少なからず認められます。
AMH;0.56というのは31歳という点では深刻でありますが、3人目、4人目迄考えないのであれば、今凍結保存されている4ABを、上記で述べたTh1/Th2,NK細胞活性を調べ免疫抑制剤等で対応で移植するのもあり得ると思います。
それによっても結果にならない場合、また、3人目、4人目のために再度採卵して胚盤胞を凍結保存しておきたい場合などで再度採卵に向けるときには、胚盤胞の染色体異数が無い点を確認し、より流産対策に重点を置く必要がるため、また、将来の妊娠で染色体異数性に関する心配を無くするためにもPGT-Aを併用した自費採卵に向けることが適切と思われます。日本産婦人科学会のPGT-A適応の症例なので、<地方自治体レベルで違いもありますが>、PGTために自費診療対応での体外受精になった場合のART費用は以前とほぼ同程度の助成金制度レベルの助成を受けることが出来るので、その点では金銭的サポートにはなると思います。
適切方針で、適切なART医療管理を受ければ2人目の挙児は問題ないと考えられます。