【Q&A】モザイク胚移植~高橋敬一先生【医師監修】

ねこさん(40歳)

・ルイボスティーは移植周期に非推奨という記事を読みました。ポリフェノール=抗酸化作用→着床阻害、また妊娠中の方が飲むと胎児動脈管早期収縮を引き起こす論文があるようでした。同様の理由で蕎麦茶・黒豆茶も控え、麦茶が良いとの事でしたが、先生のお考えを聞かせて頂けたらと思います。ルイボスティーは特に問題ないか、やめたほうがいいのか気になりました。
・部分染色体モザイク胚があります。臨床遺伝専門医からは移植OKな胚と言われており、Normal胚がもし上手くいかなかった場合移植しようと思っています。モザイク胚で妊娠できた際、ドックで問題なければ羊水検査は不要ということで合っていますか?一般的なお考えでも大丈夫ですので宜しくお願い致します。ドックが何か分からなかったのですが、胎児スクリーニング検査のことでしょうか?
・人間ドックの尿沈渣にて、細菌尿3+が出ていました。自覚症状がなくても治療すべきでしょうか?
レボフロキサシン500mg/5日間内服では細菌は減っておらず、培養検査中です。内科医はうーんと言った感じでした。男性ならば前立腺癌を疑うが、女性の場合特に…と仰っていました。 今はFT4の数値を正常化させるために移植延期となっています。
・メトホルミンは妊娠中内服しても問題ないですか?世界中で妊娠中の安全性や効果が確立したものだそうですが、日本の産婦人科Dr.からは禁忌と言われそうな気がします。
・移植周期に悩みすぎると、子宮が収縮して血流が悪くなるのでしょうか?どんな過ごし方がお勧めでしょうか。デジタルデトックスは大事かなと思っています。
・また移植周期は、プレドニンとメトホルミンを内服しますが、プレドニンは耐糖能を悪化させる気がして心配です。他にはウト ロ4、ルトラール、プレマリン6T、ユベラ、バイアスピリンを使います。何かアドバイスがあれば宜しくお願い致します。
・SEET法をやるとERPeakで判明した窓をずらしてしまう可能性がある(同時に調べた研究䛿ないから分からないが)ということを聞きました。レセプティブでしたが、SEETはやらないほうがいいのかなと迷っています。先生だったら推奨しますか?率直なご意見を聞かせていただけたらと思います。

高橋敬一先生にお伺いしました。

【医師監修】高橋ウイメンズクリニック 高橋 敬一 先生
金沢大学医学部卒業。国立病院医療センター(現・国立国際医療研究センター)、虎の門病院を経て米国ワシントン大学に留学。1996年虎の門病院に復帰した後、1999年千葉市に不妊治療専門『高橋ウイメンズクリニック』を開院。2014年ベストドクター認定(ベストドクターズ社)。2022年10月に開院から累計で妊娠2万例を達成する。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください
質問拝見致しました。
沢山勉強されているようでなかなか深い質問で驚いております。
一つ一つお答えしていきましょう。
1)まずルイボスティーですが、移植周期に非推奨との記事があったとのことですが、具体的な記事が分からず一般論になります。ポリフェノールを含む食材や飲料は様々あります。
この場合、さまざまな報告があり、良かった、悪かったの報告も様々あるのです。ポリフェノールが不妊症や妊娠中にも良いという記事も複数あるのですね。反対の結論の医学論文は山ほどあるのです。ルイボスティー、蕎麦茶、黒豆茶にこだわる必要はないと思いますよ。
このようなお茶を多飲しているのでしょうか?ポリフェノールを含むものは他にも沢山あります。また抗酸化物質も他にも沢山あるのですね。実際の生活では、不安なものを飲む必要もないでしょう。
2)モザイク胚も、高頻度と低頻度があります。専門医からOKが出ているならばNormal胚の後に移植しても良いでしょう。
羊水検査の必要性や胎児スクリーニングについては、具体的な内容が分からないのでこの場でお答えすることは不適当です。部分モザイク胚はさまざまな形態があり、明確な情報と高度な専門の判断になります。この場でのコメントは不適切ですので、担当専門医に確認すべき事項になります。

3)細菌尿の具体的な細菌が不明のようですね。

レボフロキサシンが効かない膀胱炎も珍しくはありません。この場合には、尿の細菌培養の検査もおこなっているようなので、その結果を待てば良いと思います。
または別の系統のホスミシンなどを使用しては如何でしょうか。自覚症状がなければ、様子を見ても良いですが、妊娠中には自覚症状がない細菌尿が早産の原因となるとの報告もあります。有効な抗生剤があれば今のうちに治療する方が良いでしょう。

4)世界的にはメトホルミンを使用するほうが、妊娠率が向上し、流産率が低下すると報告されています。

しかし、日本では薬品会社が妊娠中の責任を避けるかのように妊娠中の使用には責任を持たないように能書に記載しています。したがって日本では妊娠したら使用しないように、また大きな病院ほど能書どおりに使用しなければならなくなるのです。
メトホルミンの効能を理解している医師ならば妊娠中も使用することを許容すると思います。当クリニックでも妊娠するまで推奨していますが、転院する場合にはその施設の医師との信頼関係があるので、その医師の指示に従うようにお話ししています。
インスリン抵抗性があれば保険適応でも使用可能だと思います。特に他の薬との併用は問題はありません。肥満ではないようですが、たんぱく質をしっかりととり、炭水化物は控えめであれば良いと思います。

5)悩みすぎると子宮が収縮する可能性はありますが、

悩みやストレスを測定することが困難で、具体的にその方にどれほどのストレスがかかっているかが分からないのです。
したがってこの点を追求しても結論が出にくいのですね。あまり気にしないで良いと思いますよ。

結論が出ない事を気にすること事態がすでにストレスを多く感じる状況になっています。デジタルデトックスも大事とお考えのようですので、それはおこなって良いでしょう。

6)プレドニンは耐糖能を悪化させます。

したがって、移植周期に最優先する目的が何かにより、使用薬剤が変わってきます。担当医は耐糖能が一時的に悪化してもプレドニンを使用することを優先した判断なのでしょう。他に使用している薬剤は一般的なものです。おかしな使用方法ではないので、担当医を信頼して良いと思いますよ。

7)SEET法もERPeakも、まだ世界的にはその有用性が明確ではない方法です。

したがって可能性は何でもあり得るのです。この場合には、どちらの方法を優先するかと、今までの治療経過によります。
まずは担当医の意見が最優先でしょう。ここでの意見は担当医の意見に優先するものではありません。今まで移植を4回おこなっています。4回の中でおこなってない方法があればそれを優先して考えては如何でしょうか。

以上です。
質問内容を見ると、担当医もしっかりとした不妊治療をおこなっていると推測しています。

さまざまご不安とは思いますが技術の高い不妊治療を提供しているようですので、信頼して治療を受けて良いと思いますよ。頑張って下さいね。
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