連続して体外受精が不成功。次の移植までにやるべきことは?
移植を何度かしたものの続けて陰性。限られた胚盤胞を、次回も同じように移植してよいのでしょうか。検査をして不成功の原因を突き止めるなど、改善策を探る必要があるのでは? そんな不安に、厚仁病院の松山先生が答えてくださいました。
ドクターアドバイス
●数回の陰性なら着床障害の疑いも。
●まずは血液検査から。
●保険診療中でも併用できる検査もある。
採卵数に限りはある1 回の移植を大切に
分割胚の移植では薬の服用はなく、胚盤胞を移植する際にルトラールRを服用していますが、どんな理由が考えられますか。
松山先生●治療方針によるので推測ではありますが、分割胚移植の際に薬の服用がなかったのは排卵周期に移植をしているからかもしれません。いずれにせよ薬の服用によって結果に違いが出たとは考えにくいです。
39歳で6個採卵できたものの、良好な初期胚と胚盤胞の移植が3回続けて陰性だったことについては、どのように思われますか。
松山先生● 胚の評価が良好とのことですが、胚の形の良いものが必ず着床できるわけではないことがわかりますね。着床しない、または着床しても流産したと考えられるなら、その理由を追求していくことも必要かもしれません。やすよさんの場合、初期胚移植が2回、胚盤胞移植が1回とのことですが、いろいろな検査、対策を組み合わせながら、より着床しやすい環境を整えることをおすすめします。
保険診療中でも採用できる不育症や着床不全の検査を
現在、凍結している胚盤胞が1個残っている状況で、何も対処せずに移植してしまうのは不安だと思います。成功率を上げるためにできることはあるでしょうか。
松山先生●胚盤胞移植を2回行っても結果が出なかった場合は、着床不全がある可能性を考えて検査を提案することもあります。当院ではそのような場合、子宮内フローラなど子宮内の環境検査のほか、着床障害に関する血液検査や、PGT – Aなどを提案しています。ただ、ほとんどの場合が自費検査になるので、費用面の説明もして、最終的にはご本人に決めていただくようにしています。
2022年の4月から保険適用がスタートしましたが、やすよさんが採卵された時は自費診療で行っていたはずなので、現在もそのまま自費で治療をしているのか、保険適用の範囲で行っているのかがわかりませんが、もし保険適用内で治療されている場合、先進医療として要件を満たした医療機関でなら、子宮内フローラ、ERA検査、EMMA・ALICE検査といった先進医療に認定された検査を保険診療と併用できますから、検討する価値はあると思います。
相談内容に、PGT – Aの検査についても質問がありましたが、必要でしょうか。
松山先生●今ある胚盤胞を検査に出すかどうかは悩ましいですね。結果が出るまでに2週間はかかりますし、その1個が不適当という結果が出た場合にはかなり落ち込みますよね。2~3個あれば、そのうちの1個にPGT -Aを行い、結果が良ければそれを移植し、良くなければ別の胚盤胞を移植する、といった判断材料にもなります。
また、着床不全または反復流産と考えられる場合、Th – 1/Th – 2の検査なども検討しています。ですが、残念ながらPGT – AもTh – 1/Th – 2検査もまだ保険診療と併用できる先進医療の中には入っていません。自費診療区間を作ることができればこれらの検査も可能になってきます。
最初から自費治療の場合はさまざまな検討ができますが、優先順位をつけるとしたら?
松山先生●私見ですが、まずは血液検査が基本で、次に子宮内フローラ検査や慢性子宮内膜炎検査、ERA等を提案します。また、採卵周期であればPGT – Aのこともお話ししています。