ポイさん(39歳)

夫がクラインファルター症候群とわかり、円形精子細胞での不妊治療をしています。
今まではアンタゴニスト法またはロング法での採卵をしておりましたが、今回「ヒスロン」という薬を処方され、月経3日目から2錠ずつ飲み並行してHMGの注射も連日150単位打つことになりました。
質問としては、ヒスロンはどんな薬なのでしょうか。
今まで採卵は10回以上行っております。
最近の採卵では、HMGの効きが悪くなってきたのか本数が増えています。
6回目の採卵後、第一子を授かり今4歳になります。
また、質問事項として、こんなにたくさん卵巣を刺激して、今後病気などが出ないのかも気になります。
他の先生からのご意見も参考にしたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

林先生に聞いてきました。

ウィメンズクリニックふじみ野 林 直樹 先生
1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療 センター(川越市)などを経て、現職。「体外受精、顕微授精も高いクオリティで対応していますが、できる限り自然に近い不妊治療をご提供したいと考えています。 患者さんはそれぞれお悩みも違いますから、どんなこと でもまずご相談を。時にはご要望に沿えず、厳しいこと を申し上げるかもしれませんが、常に患者さんにとって ベストな治療法をご一緒に見出したいと思っています」。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください 

ヒスロンとは、合成黄体ホルモン製剤に位置づけられるお薬です。
排卵した後や妊娠中に胎盤から生成分泌されるプロゲステロン(天然の黄体ホルモン)と同じような(全く同じではありません)作用をもちます。
副作用としては、腹痛、吐き気、むくみなどがありますが、いずれも軽度です。
体外受精顕微授精)治療における調節卵巣刺激(この場合はHMG製剤による注射で多発卵胞発育をおこし卵子を複数個獲得するために用いられています)中の早発排卵を防止するために用いられ、デュファストンとともに今年の4月より保険適用化されました。
今トレンドになっているPPOS(プロゲスチンを使用した調節卵巣刺激法)です。
天然の黄体ホルモンの方が「天然だから」副作用が無いように感じられるかもしれませんが、やはり同様の副作用があり、内服の場合には吸収などに問題もあり(エフメノカプセルという改良された製剤が最近登場しましたが)保険適応とはなっていません。
PPOSは高刺激で行う従来の(アンタゴニスト法など)調節卵巣刺激法と比較しても、採卵数や、胚盤胞到達率、染色体が正常な胚の率など遜色がありません。
管理がしやすい点、卵巣過剰刺激症候群のリスクが下がることからも重宝されている方法ですが、やや使用するHMG量や注射日数が多くなる傾向があるとも報告されています。
また卵巣刺激中で測定するLHホルモンが著しく低下する場合にはヒスロンの量を減量する可能性があるかもしれません。
回数を重ねるとHMGの効きが悪くなるということはありませんが、年数がたつと卵巣予備能が低下するため(抗ミュラー管ホルモンを測定するとわかります)採卵数は減少してくる可能性はやはりあります。
古くより、排卵誘発剤と卵巣がんの因果関係は言われてきましたが、現時点では卵巣がんが増えるという証拠はありません。

クラインフェルター症候群の方での円形精子細胞を用いる顕微授精治療は極めて高度な医療です。
そのような高度な医療を実施されている医療機関であれば、調節卵巣刺激から顕微授精治療、体外培養など一連の医療技術も一流であると推察いたします。どうか安心して通院なさってください。
なおクラインフェルター症候群の男性は、一部のがんや合併症を起こしやすいことも知られています。ご主人の今後の健康管理も大切かと考えます。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。