【Q&A】抗核抗体640倍、抗セントロメア抗体640倍に対する治療法について~吉川先生

津田沼IVFクリニックの吉川守先生に伺いました。

吉川 守 先生(津田沼IVFクリニック)1991年山梨医科大学(現・山梨大学)卒業。亀田総合病院、船橋二和病院、セントマーガレット病院、山王病院などを経て、2010年11月I津田沼IVFクリニックを開設。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

よしこさん(41歳)

今まで採卵3回。
1回目:クロミッド法でMII×3、M1×3→胚盤胞1個4BB
2回目:クロミッド+HMG法でMII×3、M1×1→胚盤胞1個4BC
3回目:自然周期でMII×1→受精障害3PN
凍結胚盤胞移植を2回行いましたが、着床に䛿至りませんでした。
最近、「紫苓湯」という医療用漢方が効くという論文を発見しましたが、実際の効果を教えていただきたいです。
プレドニンなどのステロイド剤が効くという意見もあるようですが、ステロイド剤にあまり良いイメージがなく、漢方が効くのであればそちらを試してみたいと思っています。
また、治療1、2回目の刺激をしての採卵でしたが、3回目の自然周期の病院に転院しました。
高齢と低AMHのための決断でしたが、セントロメア抗体の影響の少ない卵子に出会うためには、やはり刺激をして採卵数を増やすことの方が重要でしょうか。
ご意見をお聞かせください。

セントロメア抗体と不妊との関連や治療法、治療を進めるうえでの注意点などあれば教えてください。

 

次のブログをご参照ください。

「抗セントロメア抗体」 津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)

セントロメアは、染色体の接着・維持・分離に関わります。

セントロメアは染色体同士を接着させ、この状態を維持します。

細胞分裂の際にはこのセントロメア領域に2本の紡錘糸が付着し、2つの染色体が分離してそれぞれの中心体に引かれていき、新しい2つの細胞が形成されます。(仮説)抗セントロメア抗体があると、このセントロメアの働きに異常が起こり、例えば紡錘糸が付着しなかったり、一方の紡錘糸にだけ付着したりするようなことが起こります。

そうすると、新しい細胞形成に寄与できない染色体が存在したり、染色体数に異常を持つ細胞が出現するようになります。

正常な細胞分裂では、セントロメア領域に2本の紡錘糸が付着し、2つの染色体が分離してそれぞれの中心体に引かれていき、新しい2つの細胞が形成されます。(以降は仮説です。)抗セントロメア抗体があるとこのセントロメアの働きに異常が起こり、例えば紡錘糸が付着しなかったり、一方の紡錘糸にだけ付着したりするようなことが起こります。

そうすると、新しい細胞の染色体数が少なかったり、分離しない染色体が混入したりします。

どちらの前核にも入れなかった染色体の集合が、もう一つの前核のように見えることもあります。(仮説)こうして、セントロメア抗体陽性の場合には、雌性前核が2個以上による3PNなどの異常受精や、染色体不分離による染色体異常を持つ前核の出現になります。

抗セントロメア抗体陽性では、生殖補助医療の成績が悪いとされています。

例えば、成熟卵(MⅡ期)が少ない、未熟卵(MⅠ期)が多い、4~8細胞への分割率が低い、体外受精では雄性・雌性の2つの前核をもつ2PN率が低い・3つ以上の前核をもつ多前核胚率が高い、顕微授精ではGV・MⅠ率が高くMⅡ率が低い・2PN率が低い・多前核胚率が高い・着床率が低い、などです。

 

よしこさんは、抗核抗体と抗セントロメア抗体陽性とのことですので、膠原病(例えば、全身性強皮症(CREST症候群)、レイノー病、シェーグレン症候群、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変症など)の検索が必要かも知れません。

抗セントロメア抗体陽性の不妊症の場合、プレドニゾロンや免疫グロブリンが異常受精を避けることに対して有効と言われています。

プレドニゾロン(プレドニン)につきまして、次のブログをご参照ください。

「プレドニゾロン 反復着床不全での使用」  津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)

「プレドニゾロン プレドニン®」  津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)

米国生殖医学会のガイドラインでは、「一般集団の生殖補助医療周期における生児出産の結果を改善するために、刺激時や着床期間中にコルチコステロイドを日常的に使用することを推奨する十分な証拠があります。」とされています。

また、妊婦への使用で、催奇形性はないとされています。

抗セントロメア抗体陽性での使用例は、プレドニンは異常受精に有効のため、多精子受精の検査として抗セントロメア抗体検査を行い、陽性の場合に卵胞発育期間中にプレドニン(15mg/日)を服用します。抗セントロメア抗体と着床障害との関連は不明ですが、プレドニン10mg/日を着床期に7日間服用します。

医療用漢方について、先生のお考えをお聞かせください。

回答

よしこさんは、柴苓湯(特に白朮が含まれたもの)を併用されても良いと思います。

「ステロイド剤にあまり良いイメージがない」とのことですが、ステロイド剤は安全で効果的な薬です。

必要時にはしっかり使用することをお勧めします。

現在は自然周期の施設に転院しているそうです。高齢と低AMHが理由とのことですが、先生なら、どのような治療を提案されますか?

回答

41歳のよしこさんに必要な卵子数につきまして、次のブログをご参照ください。

『貯卵』  津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)

「年齢と、胚染色体異常率・正常率」  津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)

42歳の胚染色体正常率は約25%ですので、最低でも4個以上の胚が必要です。

できれば初期胚と胚盤胞を合わせて10個は欲しいです。

AMH0.51はそれほど低くはありませんし、1回目と2回目の採卵で低刺激法でありながら6個、4個を採卵できています。

健康保険も使えるようになりましたし、高刺激での卵胞刺激を検討しましょう。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。