【Q&A】子宮筋腫の手術をすぐした方がいい?~田中雄大先生

田中雄大先生にお伺いしました

メディカルパーク湘南 田中 雄大 先生 慶應義塾大学医学部卒業。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖 医学会生殖医療専門医。大和市立病院産婦人科勤務、内視鏡手術 の専門病院を目指した矢崎病院婦人科での勤務などを経て、2009年、 矢崎病院に不妊治療専門の湘南IVFクリニックを開設。その後、2012 年にメディカルパーク湘南を開設。聖マリアンナ医科大学非常勤講師。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
 Jさん (35歳)
粘膜下筋腫あり、卵管通水検査で左の卵管がつまっているかもという所見です。
3回タイミング法をとりましたが、どれも生理がきてしまいました(前回は左からの排卵でした)。
筋腫はありますが、生理の出血量や生理痛がひどいといったことはありません。
現在通院中の医師からは、「子宮筋腫の大きさ・位置からみれば着床のチャンスはある。そのため次の治療としては(ステップをあげるなら)人工授精を1〜2回→体外受精1回ほどトライし、それでも難しければ不妊の原因が子宮因子(着床が難しい)にあると考えて、子宮筋腫を取る&卵管形成術を視野にいれましょう」との説明がありました。
手術をすると3カ月~半年は妊活は一旦休憩する必要があるとの説明もありました。
今週期はもう一度タイミングをトライしてみようと夫と話しています。
その先の治療の進め方について、ご意見を伺いたいです。よろしくお願いいたします。

子宮筋腫と不妊の関係について教えてください。

子宮筋腫には漿膜下、筋層内、粘膜下の3つのタイプの筋腫があります。漿膜下は子宮の外側に(こぶとり爺さんタイプと呼んだりします)、筋層内は子宮の筋肉の中に、粘膜下は子宮内膜に食い込んで発育するタイプです。漿膜下<筋層内<<粘膜下の順で、着床の妨げになる度合いが強くなります。

主治医の先生から今後のステップアップについて提示されています。先生ならどのような治療法を提案されますか?

Jさんは「粘膜下筋腫」とはっきりと言われているようです。もしそれが、本当に粘膜下筋腫であれば、通常は切除が最優先するべきです。理由は至ってシンプルです。粘膜下筋腫と不妊の因果関係は医学的に明確に証明されているからです。

また、卵管が「詰まっているかも」というのはどういう状況なのでしょうか?仮に卵管が閉塞していると仮定した場合、治療の選択肢は2つになります。1つ目が、早目に体外受精にステップすること、もう一つは、卵管鏡下卵管形成術という内視鏡で卵管を広げることです。

子宮筋腫核出術と卵管形成術を行なった場合の効果について教えてください。

筋腫を切除した場合、妊娠率が何倍に上がる、とか、明確な数字はあまりありません。取った場合と取らなかった場合の簡単な比較が出来ないからです。しかし、繰り返しますが、粘膜下筋腫は妊娠に最も影響がある筋腫です。一方、卵管形成術については、この手術は当院で、大変な症例数がありますので、明確に成績を出せます。卵管鏡手術を行ったあとの、術後2年間の累積妊娠率(自然妊娠の妊娠率です)は55%前後になっています。つまり、手術をした方の二人に一人が自然妊娠でお子さんを授かる、ということになります。

 

最後に

Jさんは、現在、このまま人工授精⇒体外受精までやって、それでだめなら筋腫や卵管の手術を考えましょう、と言われているようですが、流石にそれはちょっと・・・と思わざるを得ません。不妊の原因を取り除くことも、同時並行でしっかりと考えられた方がよろしいと思います。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。