体が老化していく原因の一つ。 体がコゲる「糖化」とは?

「ずっと老けずにいたい」と思うものの、なかなか難しいですよね。老化させる原因の1つに、体内の「糖化」があるそうです。そこで「糖化」とは具体的にどんな状態か、体の糖化と不妊の関係性、若さを保つためのポイントを、産婦人科医で女性の美と健康に精通される佐藤病院の佐藤雄一先生に教えていただきました。

産科婦人科 舘出張 佐藤病院 佐藤 雄一 先生 医学博士・産婦人科専門医・日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医・日本生殖医学会生殖医療専門医。2018年、体づくりができるフィーカレディースクリニック(東京・日本橋)を開院。佐藤病院院長・高崎ARTクリニック・フィーカレディースクリニック理事長を務める。専門分野だけでなく、栄養学や抗加齢医学などの知識も深く、患者さんにも積極的に生活習慣の改善を指導。

糖とたんぱく質が結合し、熱が加わると「糖化」に

「糖化」とは、食べ物から摂取した余分な糖と体内のたんぱく質が結合し、それに熱が加わることで細胞を劣化させる現象のことです。メイラード反応ともよばれています。わかりやすくいうと、ホットケーキの表面はこんがりきつね色になっていますが、あのきつね色が実は糖化によってできたコゲになります。ちなみに私たちの肌にあらわれるシミ、しわ、くすみなども糖化によってできたものの一種です。

糖化によって作られた物質である糖化最終産物( A G E ) が、一度体内にできてしまうと代謝されにくく、細胞にどんどん蓄積されます。AGEが蓄積されるとその部分に炎症が起こり、さまざまな不具合が生じるのです。たとえば、AGEが血管に蓄積されると、やがてその部分が炎症を起こし、動脈硬化や血栓などを引き起こす原因になります。できるだけ糖化を抑えることが、老化を防ぐポイントになります。

食生活を整えると妊娠しやすくなる

肌や血管は糖化することで老化が加速することがわかっていますが、糖化と不妊の因果関係は、今のところ明らかになっていません。ただAGE の数値が高く、糖化が進んでいる人は、卵胞の発育が悪い、胚の発育が悪いなどのデータもあるため、糖化と妊娠の継続については、なんらかの関連性があるのではと考えられています。

また、糖質を多く含む食べ物を過剰に摂取すると、妊娠糖尿病にかかやすくなります。今では全妊婦さんの約8~10%が妊娠糖尿病だといわれ、妊娠前から肥満の人、高年齢妊娠の場合は、よりリスクが高くなります。妊娠糖尿病になると、おなかの赤ちゃんが大きくなりすぎて難産になったり、合併症などのトラブルを起こしやすくなります。そのため、妊娠中はもちろん、妊娠する前から食生活に気を付けることが、大切といえます。

定期的に食生活を確認し妊娠しやすい体に整えよう

そこで当院ではプレコンセプションケアの一環として、妊活中の方やこれから始める方に向けて、いくつかの取り組みを始めています。

まずは血液検査を行いヘモグロビン値を測定しています。これは過去1〜2カ月の血糖値の状態を表しています。糖尿病の診断にはいくつかありますが、この値がおおむね6.5以上だと糖尿病、5.6以上だと「糖尿病予備軍」となります。

さらにこの検査で「糖尿病予備軍」とわかった方々には、それ以降定期的に体重や血液中のヘモグロビンA1cの数値を確認。さらに、日々の生活でどんなものを食べたかを記録してもらい、栄養士が指導、アドバイスをしています。たとえば、糖質を多く含む米やパン、麺類などの炭水化物の量を減らし、代わりに卵や肉、魚などのたんぱく質を摂るように指導します。また、最初に食物繊維や野菜を食べてから炭水化物など糖質が多いものを摂ると血糖値の上昇がゆるやかに。食べる順番工夫することで、糖化を抑制できることなどをアドバイスしています。

こういった栄養指導が、妊娠率を上げることにつながるかはまだわかりません。ただ、妊娠した後、食生活が整っていると妊娠中のさまざまなリスクを減らすことにつながります。あわせて運動、睡眠といった生活習慣も再チェックしてみましょう。

ご自身で生活のケアをしつつ、できるだけ早めに不妊専門クリニックなどに相談してみてくださいね。

糖化チェックリスト

自分に当てはまる項目の数を合計してください。

★該当するものが

・2 個以下:リスク低い
・3~ 5 個:リスク中程度
・6~8個:リスク高い
・9個以上:リスクとても高い。→医療機関で血液検査を

□朝食を食べないことが多い
□メニューを選ぶ際、カロリーだけチェックしている
□食事は10 分以内に食べ終わってしまうことが多い
□定食やお弁当、ランチセットを食べる際、ご飯やパン、麺類から食べることが多い
□野菜が不足気味
□アルコールをよく飲む
□喫煙している/喫煙していた
□甘いお菓子、またはスナック菓子をよく食べる
□お茶よりもジュースやサイダー、スポーツドリンクなどの清涼飲料水を飲むことが多い
□生活が不規則で夕食を食べる時間が遅い。また夕食の後にすぐ寝ることが多い
□家族に糖尿病の人がいる/いた
□カレーライスや牛丼、ラーメンなど一皿で完結する食事を摂ることが多い
□ストレスが多い
□運動をあまりしない
□お酒を飲んだ後、ラーメンなどの締めのご飯をよく食べる
□ここ数年、健康診断、血液検査を受けていない

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