排卵がうまくいっていないのか不安です

生理痛が重く、基礎体温もガタガタ。排卵はしている?

大島クリニック 大島 隆史 先生 自治医科大学卒業。1982 年、新潟大学医学部産科婦人科学教室入局。産婦人科医として3 年間研修後、県内の地域病院の1 人医長として4 年間勤務。1992 年、新潟大学医学部において医学博士号を授与される。新潟県立がんセンター新潟病院、新潟県立中央病院勤務を経て、1999 年、大島クリニックを開設、院長に就任。
れいさん(29歳)もともと生理痛が重く、不安で病院へ行きましたが、子宮内膜症などはありませんでした。このせいで排卵もうまくいっていないのかと不安です。基礎体温がガタガタで排卵検査薬もずっと陰性のままなのですが、排卵痛のような痛みはあり、血が混ざったような茶色いおりものが出てきます。この間、排卵が終わっているはずの時期に病院へ行ったら、卵胞みたいなものがあるといわれました。次回血液検査の予定ですが、排卵されていなかったら次の周期の妊娠は無理ですか?

生理痛が重い原因について考えられることはありますか。

大島先生●子宮内膜症や子宮腺筋症をおもちだと生理痛がひどくなることがありますが、れいさんにはそのような疾患はないということ。そうなると、機能性の月経困難症であることが考えられますね。
 生理がきて子宮内膜が剥がれ落ちる時、プロスタグランジンという活性化物質が産出され全身に拡散され、腹痛や頭痛が引き起こされるのですね。また、子宮の頸管部(子宮の出口)が細いと血液が滞留して腹痛が起こることがあります。

月経困難症が妊娠に影響を及ぼすことはありますか。また、治療法はあるのでしょうか。

大島先生●機能性の生理痛は不妊とは関係がないと思います。治療としては、痛みがひどい時に鎮痛剤を服用するという方法しかないと思いますね。月経困難症向けの低用量ピルがよく効くようですが、ピルを服用している間は排卵が抑制されてしまうので、妊娠を望んでいる方には向かないでしょう。

基礎体温にも不安があるようです。きちんと排卵できているのでしょうか。

大島先生●基礎体温がガタガタということは、2相性ではないということですね。また、血が混じったおりものがあるようですが、これは長く続いているのでしょうか。正常な排卵をした時も排卵時出血といって血が出ることがありますが、これはいっときだけのこと。月経周期の12日目から21日目の間にだらだら不正出血が続く場合、たいていの方は排卵していないことが多いですね。
 排卵痛のような痛みも排卵によるものではなく、排卵できなかった卵胞の中に出血して痛みを引き起こしているのではないでしょうか。

今後、どのように治療を進めていけばいいですか。

大島先生●3周期くらい排卵の前後にエコーで見て、卵胞が潰れているのかいないのかきちんとチェックしてもらうといいでしょう。生理時、LHなどのホルモン検査もして、問題があれば排卵誘発剤を使って排卵を促します。このような方の場合、卵胞はあっても中身の卵子がない空胞が多いので、誘発剤で複数の卵胞を育てて妊娠の確率を上げていきます。また、多囊胞性卵巣症候群の可能性もあるので、その傾向を調べるためにAMH(抗ミュラー管ホルモン)の検査を受けておくこともおすすめします。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。