【Q&A】初期胚の2個同時移植について~浅田先生

なかなか着床しない…

妊活中、着床への悩みは多いですよね。

浅田先生に聞いてきました

浅田レディースクリニック浅田義正先生  名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。
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キラキラさん(38歳)

38歳、AMH=1.06です。
採卵で胚盤胞4つ(5AA〜3AB)、初期胚2つ(G2)を凍結しました。
その後、4回連続で胚盤胞移植をしましたが着床に至っていません。
残りは初期胚2つなりました。
次回の移植は2つまたは1つの初期胚移植を行う予定ですが、どちらにするか迷っています。
2つ同時移植のデメリットがあれば教えてください。
着床不全は受精卵の染色体異常だろうとのことですが、胚盤胞が残り少なかったのでPGT-Aは勧められませんでした。
また免疫寛容検査でth1=29.0 、th1/th2=13.2のためタクロリムスを服用していました。
どうぞよろしくお願い致します。

 

38歳でAMHが1.06ng/ml卵巣予備能が低いため、1回の採卵で採れる卵は少なくなります。そのため、胚盤胞がいくつもできる方ではないので、PGT-A検査はあまりお勧めできません。

次回の移植は2個の胚を移植される予定とのことですが、通常、2個の胚を移植するのは、なかなか妊娠できない方に行います。2個の胚を1個ずつ移植する場合、内膜調整等で1個の胚を移植するまでに1ヶ月、計2ヶ月を要しますが、2個の胚を同時に移植すると内膜調整等は1ヶ月に短縮ができます。しかし、相乗効果で妊娠しやすくなるわけでもありません。あくまでも、時間短縮のためだと思ってください。

デメリットは双胎(双子)妊娠をする可能性があり、双胎妊娠をする可能性の高い方にすすめることはありません。

検査歴・治療歴には、子宮鏡検査や免疫寛容検査などの着床の条件をよくするための検査や治療をされたとありましたが、これらの検査は、エビデンスレベルは低いものとなりますのであまりおすすめではありません。エビデンスレベルの低い検査をされるよりも、まずは受精卵を多く作ることに力を入れられた方がよいのではないかと思います。

そもそも卵巣予備能に見合った卵巣刺激がきちんとできているか、その上で初期胚でも胚盤胞でもそうですが、どのような胚を選ぶかが重要です。

また、妊娠できないことは、着床できない、ということではありません。

着床は胚盤胞の翌日になりますので、移植した卵のうち、多くの卵は着床するが、妊娠判定よりも前に発育が止まった、と理解していただきたいと思います。

ヒトの場合、発育が途中で止まる卵が圧倒的に多いですが、その大きな原因は染色体異常となります。それ以外でも遺伝子の発現等の本質的な原因で妊娠ができない、と捉えるべきだと思います。

なかなか妊娠できなければ、治療方法はクリニックにより様々ですから、ご自身に合った治療をしてくれるクリニックに転院されることも一つの選択肢だと思います。

 

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