【Q&A】精索静脈瘤のオペが先か体外受精が先か~小田原先生

人工授精の結果が中々でなく、心配になったので検査をしたら精索静脈瘤が見つかりました。

今後の治療方針は?

ファティリティクリニック東京の小田原靖先生に詳しく解説していただきました。

ファティリティクリニック東京 小田原 靖 先生 東京慈恵会医科大学卒業、同大学院修了。1987年、オーストラリア・ロイヤルウイメンズホスピタルに留学し、チーム医療などを学ぶ。東京慈恵会医科大学産婦人科助手、スズキ病院科長を経て、1996年恵比寿に開院。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

かまぼこさん(35歳)

昨年より夫婦でA病院へ通院。タイミング→人工授精という方向で今まで進めておりましたが、人工授精4回目が陰性となりました。
<履歴>
1人工授精1回目(2021年9月)事前事後の服薬/注射なし
・d17で内膜8.1mm、卵胞18.3mmで人工授精実施。
・d25で来院指示をいただき排卵確認実施。
・d33の翌日リセット。
2人工授精2回目 →中止(2021年10月)事前の注射あり(卵胞の育ちが遅い→ufshはあすかをd15,d21で実施)
・その後、卵胞は育ったが、人工授精は通院できるタイミング合わず中止。
★排卵後、高温期が1日しか続かない。d27の翌日リセットした★
3人工授精3回目(2021年10月)事前の薬・注射なし
・d3で内膜5.1mm、卵胞12mm。
・d8で内膜10.2mm、卵胞17.6mmということでこの日に人工授精実施
★しかし、高温期が8日しか続かず、d17の翌日リセット★
4人工授精4回目(2021年11月)事前の服薬なし。人工授精後の薬あり。
・d13で内膜8.7mm、卵胞21.9mm。
・人工授精【後】にHCG注射。(人工授精当日は排卵検査薬が陰性だったため)
・その2日後からデュファストンを服用。
・d28は翌日リセット。高温期は15日続いた。
夫も高齢であるため、本当に精子に問題がないか気になり、夫が別のB病院でも検査をしたところ、精索静脈瘤(グレード3)だとわかりました。手術はB病院からC病院に紹介状をだしていただき、C病院でオペ実施となりそうです。
次に体外受精へすぐステップアップするか、精索静脈瘤の手術を先にするか検討中です。
私(妻)の年齢もあるため、体外受精を先に進めようかと思っており、クリニックの医師にも相談予定です。
精索静脈瘤の手術か体外受精、どちらが先の方が望ましいでしょうか。

月経周期が不規則ということですので卵胞がある程度の大きさに達しても排卵に至らないことがありうると思います。
その場合はLHサージ(排卵)を起こす目的でHCG注射やGnRHスプレー(スプレキュアなど)を用いることが有効と思われます。
その意味からは4回目のIUI(人工授精)が良い形だったと思います。
精液所見からはIUIで妊娠するかギリギリのところだと思いますAMHが良好であれば現時点で卵巣機能が低下しているというとは必ずしも言えないと思います。
ご本人の年齢、AMHからはあと2、3回、第4回目と同様の方法でIUIを行い、妊娠に至らなければご主人の手術か体外受精を考えるという流れでしょうか?

精索静脈瘤は精子所見、特に正常形態率を低下させますので手術での改善は期待できます。

ただし効果が出るかは確実でなく、手術後の改善にも数か月を要します。
このような理由から女性の年齢が高い場合には手術せずに体外受精に進むことが勧められますが、かまぼこさんは年齢的にもどちらも有ると思います。
あとは考え方で、早くの出産と第2子治療の凍結胚を得ることを考えれば体外受精が望ましいですし、できるだけ自然のプロセスで妊娠を希望するということであれば手術ということでしょう。
個人的な意見を述べさせていただければ手術の不確実性を考慮して体外受精が望ましいかと思います。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。