【Q&A】死産を乗り越えて妊娠、出産したい~中村先生

流産が続いたりした場合、染色体異常を疑ってしまうことがあるかもしれません。

どのように考えたら良いのでしょうか?

中村先生に聞いてきました

なかむらレディースクリニック 中村 嘉宏 先生 大阪市立大学医学部卒業。同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

ちっちゃいくまさん(33歳)

第1子を2017年に自然妊娠で出産しました。
2019年より2人目妊活を始め、1年ほど自己タイミングを計るも授からず。
主人の精子運動率が40%台だったことが分かり、主人にもサプリ等飲んでもらい、60〜70%台までなるようになりました。
私自身、子宮鏡検査等し、両方卵管通水済みですが、左卵巣が子宮裏側で奥の方にあり(癒着はなし)場所が悪いようです。
2回人工授精するも陰性でステップアップ。採卵30個し、8個胚盤胞になりました。
凍結胚移植し、1つ目7w流産、2つ目16w胎児水腫にて死産しました。精神的にかなり辛いですが、早く授かりたい気持ちも強くあります。
残り6個を凍結していますが、同じタイミングで採卵した32歳採卵時の受精卵では、また流産・死産するのではないかと移植をためらっています。
胎児水腫は突然変異とは聞きますが、また染色体異常ではないかと思ってしまいます。
年齢的に染色体異常は少ないとはわかっていますが、ランクは良いものから移植したのに、連続2回染色体異常だと残りのものも同じレベルだと思ってしまいます。
これからについて1残り6個を融解し、着床前検査をするか、2再度採卵からして、着床前検査をして凍結〜移植するか、3何もせず凍結胚を移植するか、4タイミングや人工授精にステップダウンするか。
もちろん自然妊娠希望ですが、これだけ授からないと精神的につらいです。
最短で妊娠、出産するにはどうしたらよいでしょうか?

全体に気になることは、ちっちゃいくまさんが悲観的になりすぎて、次の一歩を踏み出せずにいることです。

もちろんつらい体験でお気持ちはすごくわかるのですが、その体験がトラウマとなって合理的な判断が難しくなっているように思います。

流産の約80%は偶然に起きる染色体異常です。胎児水腫は、胎児の胸部や腹部に胸水や腹水などの水がたまり、全身が浮腫となった状態です。

胎児水腫の原因は必ずしも染色体異常とはかぎりません。母体と胎児の血液型不適合や、ウィルス感染、心疾患などでも起こりえます。原因不明の場合もあります。

32歳の方の胚盤胞であれば、半数程度は染色体が正常です。30個採卵できて、8個胚盤胞に到達していれば、そんなに悪い状態ではありません。胚盤胞の形態と染色体異常の有無はある程度相関しますが、完全に一致するわけではありません。確率的には残り6個の胚に染色体が正常で出産までいたる胚盤胞が含まれている可能性が十分にあります。

そのため、なにもせず残りの凍結胚盤胞を胚移植することをおすすめいたします。

凍結胚盤胞を一旦融解して着床前診断することは可能ですが、やはり受精卵への影響が大きいのでやめておかれた方がいいと思います。

着床前検査を希望されるのであれば、ご夫婦の染色体検査をした上で、もう一度採卵して着床前診断をし、正常胚を凍結するのがいいでしょう。

ステップダウンですが、治療歴が2~3年と長期であることを考えるとやはり体外受精の方が妊娠の確率が高いと考えます。

つらい体験のため、いろいろな考えが思い浮かびなかなか整理がつかない状態になられていると思います。

カウンセリングを受けられることも有効ですので、ぜひご検討してください。

 

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。