人工授精5回経て、転院後すぐ顕微授精。あまりに急で戸惑う

福田ウイメンズクリニック 福田 勝 先生 順天堂大学医学部・同大学院修了。米国カリフォルニア大学産婦人科学教室留学後、順天堂大学医学部産婦人科学教室講師を経て、1993 年福田ウイメンズクリニック開院。2018 年10 月に、より最寄り駅に近く、広々とした場所にクリニックを移転しました。
相談者 : Masaruさん(39歳)人工授精5 回の後、体外受精を飛ばして、顕微授精へのステップアップを考えています。転院先のクリニックは自然周期を得意とし、男性不妊にも力を入れています。こちらを選んだ理由の一つは、夫(40 代後半)の精子の運動率があまり良くないこと、また私の体への負担をできるだけ少なくしたいことでした。しかし、転院後いきなり顕微授精をすすめられると、ちょっと戸惑ってしまい…。病院選びが適切だったか、悩んでいます。AMH が5.7ng/ml と高いことも関係しますか?

まず、40代後半のパートナーの精子の運動率を心配されています。

福田先生●顕微授精は、難治性の受精障害でこれ以外では妊娠の見込みが極めて少ないと判断される場合に適応される治療法です。実際には、人工授精や体外受精を繰り返しても受精しなかった(受精障害)、あるいは受精が難しいと判断される場合(主に重症精子減少症、重症精子無力症、重症精子奇形症など)が適応と判断されます。
 ご相談者のMasaru さんは、以前に通院されていたクリニックで人工授精を5回施行されたとのこと。もしも、精子に重大な問題があるとしたら、人工授精を飛ばして、真っ先に体外受精や顕微授精を提示されたと思うので、精子の状態はご心配されるほど悪くはないのではと推察します。

転院後にいきなり顕微授精となり、戸惑っているとも。

福田先生●転院先のクリニックは自然周期を得意としているとのこと。たぶん自然周期か低刺激を基準として顕微授精を提示されたのではないかと思います。確かに自然周期や低刺激では採れる卵子の数は少なくなりますが、顕微授精なら問題ありません。さらに、体外受精の場合にまれに起こる多精子受精を防ぐこともできます。卵子が少ない場合に多精子受精を起きてしまうと移植・凍結ができなくなる恐れがあるのです。ご年齢やAMH 値からしてもMasaruさんには強い刺激は不向きだと思われますし、体外受精を何度も繰り返すより、顕微授精の方が体への負担が少ないこともあります。戸惑うことはありません。きちんと主治医から説明を受け、理解・納得したうえで、ぜひ顕微授精を前向きに検討してください。

年齢的にAMH 値(抗ミュラー管ホルモン)が高いことで、卵子の質についても心配されています。

福田先生●確かに、ご年齢にしてはAMH がかなり高いですね。AMH 値は卵巣内の卵胞の数を反映していますので、PCO(多囊胞性卵巣)の疑いが強いです。この場合、卵巣刺激が強いとOHSS(卵巣過剰刺激症候群)の発生に注意が必要となります。
 PCOの場合はOHSSのリスクを避けるため、卵巣刺激を弱くする必要があります。「病院の選び方は適切だったか?」とありますが、自然周期を得意とするクリニックでしたら、きっと低刺激療法も得意でしょうし、結果として病院選びは正解だと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。