いい卵子をひたすら待つしかないのでしょうか?

毎回採卵数が少なめ。誘発方法を変えれば変化が出ますか?

松本 玲央奈 先生 聖マリアンナ医科大学卒業。東京大学産婦人科学教室、長野県立こども病院総合周産期センターなどを経て、東京大学大学院医学研究科で着床外来に就きながら着床の基礎研究に従事。2018年より現職。男性外来や漢方外来も併設し、オーダーメイドの治療を実践。2015年不妊分野において権威あるヨーロッパ生殖医学会で着床に関する論文でAward受賞。
相談者 : ぷぷさん(34歳)  体外受精1回目はロング法で3個、2回目もロング法で2個採卵。転院後、3回目はショート法で4個、4回目もショート法で4個採卵。途中で胚の分割が止まってしまったり、移植しても陰性で結果が出ていません。ロング法、ショート法と試しましたが、採卵数が少ないことに変わりはなく、結果も似たように思えます。医師は「次に採卵をするならアンタゴニスト法で」といっていますが、誘発法で変化があるものでしょうか。私に妊娠の可能性はありますか?

高刺激でも採卵数が少なく受精卵が正常に分割しない原因は?

数が少ないことに関してはAMH(抗ミュラー管ホルモン)を調べてみてもいいかもしれません。卵子の在庫の具合がわかります。もう一点、卵子の質があまりよくないのではないでしょうか。まだ34歳という年齢ですが、お若くても卵巣の機能が低下している可能性も考えられます。

誘発方法を変えれば卵子の質は上がる?

妊娠するための条件として最も重要なのは卵子と精子。誘発方法はファクターの一つでしかないんです。もともと卵巣の中にある卵子を採り出しているだけなので、誘発方法を変えたからといって卵子の質が劇的に変わるということはなかなかないかもしれません。ただし誘発方法は合う合わないもあるので、変えてみることはいいと思います。ここで誘発の仕方を変えてみる判断は正しいと思いますね。

次にアンタゴニスト法の提案を?

アンタゴニストというのは排卵は抑えてくれるのですが、結構強力なお薬なので卵巣の状態がよくない人にはあまり向かない印象があります。胚質をよくするというより、かえってマイナスになってしまうのでは。ぷぷさんはこれまで高刺激ばかりしてきたので、180度舵を切って次は自然周期での採卵にトライ、もしくは当院で採用しているPPOSという方法を試してみてもいいかもしれません。

それはどのような方法ですか。

高刺激にも種類があり、何が違うかというと排卵の抑え方が違うんです。たとえばショート法だとGnRHアゴニスト、アンタゴニスト法ならGnRHアンタゴニストという薬を使います。PPOSは生理中から黄体ホルモン剤を毎日内服して排卵を抑えていく方法です。飲み薬なのでコントロールしやすく、当院のデータでは胚質が上がり、妊娠に関してもよい成績をあげています。

誘発法を見直す以外に、メラトニンやコエンザイムQ10などの抗酸化サプリもおすすめです。サプリメントなので効果には個人差がありますが、酸化ストレスを取り除くことで卵子や胚の質が上がったという論文も複数報告されています。当院での成績も良好です。また、顕微授精後、卵子を活性化するカルシウムイオノフォアという方法もあります。

卵子の質を上げることにトライしながら、誘発法に変化をつけていく。それが今できる最善のことだと思います。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。