妊娠できないのは子宮の開腹手術を受けたからですか?
中隔子宮とはどのような病態なのでしょうか。
中隔子宮は子宮奇形の一つです。子宮は胎児の時に、2つのミュラー管という組織が融合して形成されます。その際、中央に隔壁ができ、本来ならそれは自然になくなっていくのですが、何かしらの原因で消退不全を起こし、壁が残っている状態のことを中隔子宮といいます。
一般的に、中隔子宮の方は正常な子宮の方に比べ、流産率が約2・5倍高まると考えられています。改善するためには外科的な治療しかなく、開腹手術のほか、子宮鏡を使って壁を取り除く方法がとられることもあります。
あずさんは子宮筋腫の手術時に中隔も取り除かれたということ。1回の手術で2つの疾患を治療できたのはよかったと思います。
抗リン脂質抗体症候群も流産の原因になりますか。
抗リン脂質抗体は自己抗体の一つで、このような抗体を保有しており、かつ流産を繰り返している状態を抗リン脂質抗体症候群と呼んでいます。あずさんはこれまで化学流産と初期流産、2回の流産を経験されていますが、この抗体が関係している可能性も考えられます。
手術したことによって妊娠しにくくなることはあるのでしょうか。
この方は不妊の原因や疾患について一つひとつきちんと調べて、それに対して治療もしっかりされています。手術による悪影響はなく、むしろこれまでより妊娠しやすい状態になったのではないでしょうか。あとは精液所見なども見ながら、積極的に治療を進められたらいいかと思います。
また、AMH(抗ミュラー管ホルモン)の検査はされているのでしょうか。今後の治療方針を立てていくうえでも、AMH検査で卵巣の予備能を調べておいたほうがいいかと思います。
現在、タイミング法でチャレンジされていますが、子宮頸管粘液が少ないといわれているようなので、次は人工授精にステップアップしてもいいかもしれません。人工授精を4回ほど試しても結果が出なかったら、体外受精を視野に治療方針を立てていっては?
流産は残念でしたが、前向きに考えれば妊娠力はあるということ。方法を工夫していけば必ず妊娠のチャンスは巡ってくると思います。