これからの「妊活」どうすればいい?クリニックの感染症対策と私たちの心得

不妊治療中なのに新型コロナウイルスが流行。治療は続ける?それとも今の時期は考え直す? 疑問や心配が尽きない人も多いでしょう。そこで秋山レディースクリニックの秋山芳晃先生に、クリニックでの対応や患者さんの疑問についてお話ししていただきました。

妊活のことでただでさえ頭がいっぱいなのに、加えて今年は新型コロナウイルスが…。治療は続けるべき? それとも今の時期は考え直したほうがいい? 疑問や心配が尽きない人も多いでしょう。そこで、秋山レディースクリニックの秋山芳晃先生に、クリニックでの対応や患者さんの疑問についてお話ししていただきました。

 

秋山 芳晃 先生(秋山レディースクリニック)東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属病院、国立大蔵病院に勤務後、父親が営んでいた産科医院を継ぎ、不妊症・不育症診療に特に力を入れたクリニックとして新たに開業。

クリニックでは今できる可能な限りの対応を実施中

新型コロナウイルスの感染者が増え始めてから、当クリニックではさまざまな情報をもとに、感染症対策を行っています。

まず、職員はゴーグルまたはフェイスシールド、N 95マスク、ガウンを着用し、万が一患者さんが感染されていても濃厚接触者にならないようにしています。

クリニック内では、各所に加湿器を設置、持続的な次亜塩素酸水の噴霧、常時換気、2時間おきに内診台・診察室・トイレ・待合室ソファ・手すり・ドアノブの消毒を行っています。診察予約のタッチパネルは一時的に中止、受付はアクリルの仕切りを設置して、飛沫を防ぐ対応をしています。第2子の不妊治療にいらっしゃる方のご利用があるキッズルームに関しても、現在予約制にしています。

また、採卵や胚移植をはじめとする手術室を使用する際は、最少人数のスタッフで行い、患者さんごとに手術室・モニターなどの消毒も行い徹底した対策を行っています。

患者さんには、状況を説明し治療の選択をしてもらう

このウイルスが蔓延し始めたころから当院でも患者さんの数が少しずつ減少、緊急事態宣言が解除されてからは徐々に戻ってきています。しかし、宣言が解除されたからといって、ウイルスがこの世からいなくなるわけではなく、感染を100%防ぐことは簡単ではありません。

不妊治療をするご夫婦に気をつけていただくこととすれば、日常生活であればマスクを着用、手洗いの徹底をすることでしょう。新型コロナウイルスでクラスターになった病院では、タブレット端末が院内感染の原因となっていたという報告もあります。これからは、身の周りのものが清潔なのかどうかを考えながら使う必要もありますね。

来院する患者さんには、当院ホームページで来院の目安を公開しています。来院される患者さんには問診を始め、検温も行っています。具体的に、治療を継続するべきか、休むべきかなどの質問も多く寄せられています。その際には、新型コロナウイルスについて現時点で有効なワクチンや治療薬がないこと、妊娠中に感染した時の母体と赤ちゃんへの影響がわかっていないことなどをよく説明したうえで、納得していただき、患者さんに選択をしてもらっている状況です。

実際に来院して治療を受けられている方は、待合室を密にしないようにしたり、検査の結果待ちの場合は車の中や外で待機していただくなどの対応をお願いしています。

いつか治療薬ができると信じ、今は私たちができることを

アビガンⓇやレムデシビルなど、新型コロナ感染症に対し有効性があると報告されている薬もありますが、不妊治療を受けられる方や妊娠された方への使用についてはまだ控えたほうがいいとされています。

ただ、かつて、不治の病のイメージがあったエイズ(HIV)が、薬によってかなり症状を抑えられるようになったように、この新型コロナウイルスに対してもいつか有用な対応策が開発されると思います。

年齢的によほど時間に余裕がある患者さんは別ですが、ほとんどの患者さんは感染のリスクはあっても、できるだけ早く妊娠したいと望んでいることと思います。また、一般の婦人科で通院したい方や、検診の方も通院を躊躇することによる病状の悪化があってはいけません。状況によってはオンラインでの相談にも対応しています。
先にお話しした通り、クリニックでは常に情報をキャッチし対策をしていますので、過剰な心配はせずに来院してください。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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