2人目不妊で治療。専門病院へ転院したほうがよいですか?

德永 義光 先生(空の森クリニック)1990年琉球大学医学部医学科卒業。滋賀医科大学解剖学教室助手、ローマ大学解剖学教室留学、豊見城中央病院不妊治療センター、アドベンチストメディカルセンター産婦人科の勤務を経て、2005年ALBA OKINAWA CLINICを開院。2014年にはトータルライフコーディネーターとしてサービスを提供する空の森クリニックを開院。
ちーさん(33歳)からの相談2人目不妊で現在、不妊治療中です。1人目が2歳になってすぐの頃、9週目で流産して以降、1年半妊娠には至っておりません。現在は1人目を出産した産婦人科でタイミング法を試しており子宮卵管造影では子宮内に少し癒着があるものの問題なし。現在はクロミッド®を1日2錠と排卵日前にHCG注射をしています。主治医からは2回とも自然妊娠できているため、体外受精はすすめないと言われていますが、思い切って不妊治療専門病院に転院するか迷っています。

1人目を自然妊娠した場合でも、専門外来に通うべきでしょうか?

 

ちーさんの場合は1人目の妊娠の際、生理が順調だったかどうか、排卵障害がなかったかも気になる点です。1人目を出産した直後か2人目流産の後から排卵障害に陥っている可能性もあります。

2人目不妊についてですが、1人目と2人目で確実に違うのは、ちーさんが「育児」をされていることです。出産して日常生活がスタートすると、24時間という限られた時間で家庭のことにプラスして子育てが加わります。その際に大半の方が「睡眠と食事の時間」を削ります。そこに解決のヒントが隠れています。

具体的にどんな検査をされますか?

 

まず血液検査で貧血がないかを確認するためにフェリチン(血液中の鉄分)を測定します。現在ちーさんは鉄分のサプリメントを服用中とありますが、果たしてそのサプリメントで鉄分が充分に補えているのかという点、さらにいえばタンパク質不足に陥っていないかどうかも重要なポイントです。

育児をしていると早食いになりがちで結果的に炭水化物過多な食生活になりえます。ただでさえ母体は妊娠中に必要な栄養素の大部分を失っていますが、出産後不足した栄養素を補えていないケースが多くあります。

炭水化物過多による妊娠への阻害要因を教えてください。

 

炭水化物を多く摂取するとインスリンが多く分泌されるので、インスリンが原因で排卵障害が起こりやすくなります。

第1子を授かり喜びも束の間、育児に追われて睡眠不足な生活。ちーさんは2人目流産という喪失体験に加えて、子どもができて初めてご主人の「本音」が見えて、夫婦間の温度差が発生するケースもあります。

そこで、TRH負荷テストで乳腺を刺激するプロラクチンの数値を見ます。プロラクチンが多く分泌されると卵子の成熟をうながす黄体形成ホルモンの律動性が邪魔されてしまいます。そうなると充分な放出ホルモンが卵巣に届かなくなり未破裂卵胞や卵子のサイズが大きくなり排卵しても受精に至りにくくなります。

またご主人も精子の質が低下している可能性もあります。「食生活の見直し」という観点から、専門外来を受診されてみてはいかがでしょうか?

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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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