早発卵巣不全です。どのような治療がありますか?

蔵本 武志 先生(蔵本ウイメンズクリニック)久留米大学医学部卒業、山口大学大学院修了。山口県立中央病院産婦人科副部長、済生会下関総合病院産婦人科部長を経て、1990年オーストラリア・PIVETメディカルセンターへ留学。帰国後、1995年蔵本ウイメンズクリニック開院。JISART(日本生殖補助医療標準化機関)理事長。久留米大学医学部臨床教授。
mintoさん(30歳)からの相談1年前に結婚。8年前に早発卵巣不全と診断されていたため、結婚後はすぐに東京の専門病院まで福岡から通い、半年間治療しましたが、採卵には至りませんでした。夫は養子縁組も考えているようですが、私は自分の子どもを産みたいです。現在、漢方や薬を飲みながら生活に気をつけていますが、あるかどうかわからない卵子を育たせるには、一般的にどんな治療があるのでしょうか。注射を打ちながら育つのを待つのでなくほかに方法がないか模索しています。

早発卵巣不全とは何ですか?

 

「早発卵巣不全」とは、40歳未満で6カ月〜1年間以上無月経で、高ゴナドトロピン血症、血中FSH値40 mIU /ml以上、低エストロゲン血症である状態です。AMHは最低値を示します。30歳未満の0.1%、40歳未満の1%にみられ、卵巣内で卵胞が極端に減少している状態です。

原因は、卵巣の手術、がんの化学療法・放射線治療により卵巣機能が低下する要因に加え、染色体異常や遺伝子変異、感染や自己免疫疾患などが考えられていますが、多くは原因不明です。

どのような治療を行いますか?

 

有効な治療法が確立されていないのが現状で、完全に閉経している場合と、卵巣内に卵子が残存している場合があり、識別するのは困難です。

卵子が残存している場合は、通常の月経周期と同じホルモン環境を作り、FSH値とLH値を正常化して卵巣の反応性の回復を図るために、カウフマン療法を行います。具体的には、エストロゲン製剤を3週間投与(後半に合成プロゲステロン製剤を併用)することを数周期行います。血中FSH値、LH値が正常値近くになったら(10mIU /ml以下)、さらに、エストロゲン製剤の貼布剤や内服薬を投与しながら小卵胞が育つのを待ち、もし卵胞が見えてきたら、軽く排卵誘発をして採卵を行います。採卵まで至る可能性は高くはありませんが、それでも育つ場合もあります。

他に生活面などで改善でできることやアドバイスはありますか?

 

漢方薬はよいことだとは思いますが、それで劇的に改善するのは厳しいかもしれません。生活改善では、喫煙すると卵子数は減少しますからタバコは絶対に止めたほうがいいでしょう。

早期卵巣不全の方の治療は、難しいとされています。あと1年など期間を決めて頑張って、厳しい場合は、夫婦二人の人生設計を考えるのも一つです。また、ご主人が考えている養子縁組の選択もありますし、提供卵子による体外受精もあります。体外受精でしたらmintoさんご自身で出産はできますから。国内では一般的ではありませんが、JISART(日本生殖補助医療標準化機関)が、倫理委員会の厳正な審査のもと、実施施設で適応症例に行っていますが、日本産科婦人科学会では未だ正式には認められていないため、海外で治療を受ける方もおられます。ただし、第三者の提供卵子を使うことになります。

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