クラミジア感染などで癒着がひどい場合、腹腔鏡手術は有効

 

クラミジア感染などで癒着がひどい場合、腹腔鏡手術は有効? エフ.クリニックの藤井先生にお答えいただきました。

エフ.クリニック院長 藤井俊策 先生 これまで私は、弘前大学医学部附属病院で約20年間にわたり、不妊症・不育症などの生殖医療と腹腔鏡・子宮鏡・卵管鏡などの内視鏡手術を中心として診療、研究、教育にたずさわり、青森労災病院やむつ総合病院においては周産期医療や一般婦人科診療の経験を積んでまいりました。思春期から更年期まで女性の生涯におけるさまざまな疾患、特に生殖に関わる問題にきめ細かく対応したいと考えております。立崎先生の築いた地域医療の礎を踏襲し、さらに発展させるべく頑張る所存です。よろしくお願い申し上げます。

腹腔鏡手術が有効な疾患は2つ。

1つ目は、高度の癒着で卵管が完全に閉鎖し、卵管留水症(留水腫)をおこしている場合です。

卵管の分泌液や炎症性の物質が子宮内に流れ込むことで着床が妨げられるため、卵管切除や卵管と子宮との交通を遮断して分泌液が流入しないようにするなど、卵管の状態に応じて腹腔鏡手術を行います。

2つ目は、子宮内膜症です。

腹腔鏡で初めて見つかることも珍しくなく、原因不明の不妊症の人の30〜40%に子宮内膜症が見つかるという報告もあります。腹腔鏡手術で病変を焼灼してお腹の中を洗うだけで自然妊娠の可能性は高くなりますが、処置によって体外受精の胚移植の成績が上がるという根拠はなく、内膜症を含め腹腔内の炎症を鎮めることで着床しやすい環境になるかもしれない、と期待がもてる程度に思ってください。

過去のクラミジア感染などが原因で腹膜炎をおこし、癒着は残っているけど今は完治しているという状態なら放置していても特に問題はありません。

ただし、腹膜炎は卵管を経由しておこるので卵管側に問題が起きている可能性はあり、そのために自然妊娠が難しくなることはあります。

卵管が腫れているなどの問題があれば腹腔鏡手術をすすめますが、通常の癒着は手術せずに体外受精を行うほうが多いでしょう。

 

腹腔鏡手術の特徴と手術までの流れ

 

炭酸ガスでお腹を膨らませておへそから細長いスコープ(カメラ)を入れ、下腹部の左右両側を切開してパイプを装着し、そこから手術器具を入れて腹腔内の病変を処置します。切開の数や大きさ、場所は状況によって多少異なります。傷が小さいので術後の痛みが少なく、社会復帰も非常に早いというのがメリットです。

術前の血液検査や、全身麻酔なら肺機能や心電図の検査などを外来で行い、異常がなければ手術前日に入院。

短時間の手術で何も合併症がないなど日帰り手術が可能な場合もありますが、通常は4〜5日の入院を要します。

手術そのものの費用は保険適用ですから自己負担3割。入院費用を加えると総額で15〜30万円です。

 

腹腔鏡手術をすすめる代表的な疾患

 

卵管病変と子宮内膜症以外で多いのは子宮筋腫で、かなりサイズが大きなものでも腹腔鏡で摘出することができます。

婦人科的には手術が必要のない大きさでも、不妊治療の場合は着床に影響があると考えられれば手術をすすめます。

子宮筋腫が多発してくる年齢層と不妊治療を行なっている患者さんの年齢層が重なっているため、手術件数がもっとも多いのも子宮筋腫です。

 

藤井先生より まとめ

 腹腔鏡手術をしても、100%確実に妊娠するとは言えません。ただし、治療を継続したり終了を決意したりする中で、腹腔鏡をしても何も病変は見つからなかったかもしれないが、ベストコンディションで治療に臨むためだと思えるなら、手術するのも悪い選択ではないでしょう。癒着の状態がどの程度のものなのか、また、手術でどのような効果があるのか、手術をするしないを選ぶためにも、主治医としっかり話をしていただきたいですね。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。