Q 同じアンタゴニスト法なのに 結果がまったく違うのはなぜ?
ドクターアドバイス
同じアンタゴニスト法でも結果が大き く違ったのはなぜなのでしょうか。
松本先生 1回目は採卵数も受精率も悪 くなく、良好な胚も得られたとのこと。 残念ながら赤ちゃんを得ることはできま せんでしたが、結果としてはよかったの ではないかと思います。問題にされてい るのは転院後の2回目の結果ですね。
同じアンタゴニスト法でも、施設や医師によって始めるタイミングが異なる場合があります。GnRH アンタゴニストというお薬はかなり強力なので排卵を抑えてくれるのですが、強いので早い時期から使って回数を増やしたくない。しかし、ギリギリまで使うのを待っていると排卵に向かっていってしまいます。
ベストなタイミングを見極めるための目安の1つが卵胞の育ち具合で、みんな揃って 13 ~ 15 mm程度になったら始めていくのが 一般的だと思います。毎回そのような形で進められればいいのですが、難しいのは卵胞の大きさにバラつきがある場合。
先行して大きくなっている卵胞があるけれど、ほかの卵胞はまだ小さいのでもう少し待ちたい。そういった場合には、薬を使用するタイミングを見極めるのは非常に難しくなってきます。
また、その時のエストロゲンの状態も判断材料の1つに。この方はエストロゲンの値がある程度高く、担当の先生は「卵胞はまだ小さいけれどもう待てない」と考えられたのかも。そうだとしたら、アンタゴニスト法を開始するタイミングが少し早かったということになります。
先生に不信感を抱かれていて、転院を 考えていらっしゃるようですが。
松本先生 アンタゴニスト法自体はこの 方に合っているやり方だと思います。しかし卵子や精子は生き物ですから、周期 やちょっとしたタイミングでうまくいか ない時もあります。
不信感を抱かれたのはコミュニケー ションが不足していたからなのでは。疑 問に思っている点や結果に至った経緯を 先生に聞いて詳しく説明していただき、 納得したうえで治療を進めていくことが 大切だと思います。それが叶えられない施設や先生であれば、転院を考えてもいいのではないでしょうか。