はじめの一歩である一般不妊治療の内容やかかる費用はどれくらい?秋山レディースクリニックの秋山芳晃先生にお話を伺いました。
タイミング療法は不妊治療のファーストステップ。費用は1周期4000円程度です
不妊治療の第 歩でもあるタイミング療法は、生理周期から推定した排卵日近くに病院へ来ていただいて、超音波で卵胞という卵子が入っている袋の大きさを測って排卵日を推定し、それに合わせて性交渉してもらう方法です。今、共働きなどライフスタイルの変化により、性交渉の回数が減っているご夫婦が多いようです。妊娠のチャンスがある時期にできるだけ頑張るという意味では、ある程度正確にタイミングを推測できたほうが精度が高くなると思います。
年齢的に厳しい、精神的な要因などで性交渉をもてないなど、悪い条件がなければ最初の不妊治療としてタイミング療法をおすすめしていますね。
健康なご夫婦が1回の排卵で妊娠できる確率は %程度。その確率から考えると、きっちりタイミングが合って6回目で9割くらいの方が妊娠するという計算が成り立ちます。タイミング療法を続ける時期として、特に大きなリスクがなく、年齢が 30代半ばくらいまでの方であれば「6周期、半年くらいは続けてみましょう」というお話をしています。
では高齢だとこの治療では妊娠しないのかというと、そうともいえません。 40歳以上で不妊歴が長くても数回のタイミング療法で妊娠する方もいらっしゃいます。特に長年排卵障害があって排卵がうまくいっていなかったような方は、排卵のお手伝いをしてあげるとうまくいく方もいるんですね。時間的に厳しいので挑戦する回数は1、2周期と短くなることはありますが、不妊治療がはじめてという方はトライしてみる価値はあると思います。
タイミング療法の治療費は1周期でだいたい 4000円程度。ただし、排卵のタイミングがつかみづらい方などはその分超音波で診る回数が増えたり、場合によってはホルモン値を調べて排卵日をより正確に推定していく必要があります。排卵を誘発する場合は別にお薬代など、ケースによっては余分に費用がかかる場合もあるでしょう。
人工授精の費用は1周期2万円超。
妊娠する約8割の人が4回から6回の間に妊娠します
タイミング療法の次のステップとして人工授精という治療があります。これは排卵のタイミングに合わせてお預かりした精液を洗浄し、精子をできるだけ集めて動きやすくしたうえで子宮の中へ注入してあげる方法です。
妊娠率だけで比較すると、1回の確率はタイミング療法とあまり変わりませんが、タイミング療法でうまくいかなかった人が人工授精をすると %くらいの確率でうまくいくといわれています。
精子が少ない、もしくは動いていないなど男性側に問題がある、性交渉がうまくもてないという場合などは、タイミング療法を飛ばして人工授精から治療することもあります。
妊娠した方の約8割は4~6回までに妊娠するといわれているので、その方のホルモン状態などにもよりますが、最長で6回くらい、40代の方は2回挑戦してうまくいかなかったら体外受精へ進むというのが一般的だと思います。
治 療 費 は 1 周 期 2 万 1 0 0 0 円 か ら2万3000円程度。人工授精は排卵誘発剤を使って卵子を増やすと5%くらい妊娠の確率が高くなるといわれていますから、その場合は基本的な費用のほかに飲み薬や注射などお薬の料金もプラスされることになります。
体外受精と比べると比較的受けやすい料金なので、体外受精へ進んでも治療が長引いているような方は途中でまた人工授精に戻ってくるケースもあります。
モデルケース人工授精の場合
月経10~12日目
【排卵日と人工授精実施日を特定するための診察】
※1・2
・再診料……………1,260円(自費)
・超音波検査料……1,650円(自費) 合計…………………2,910円
月経13~15日目
【人工授精当日】
・人工授精…………16,500円(自費)
・HCG注射……………1,500円(自費)
・デュファストンⓇ30錠… 約500円(保険) 合計………………約18,500円
1周期の治療費合計 約21,410円(税別)
※1 超音波だけでは排卵日特定ができない場合はエストロゲンのホル モン採血¥2,200(自費)をする場合があります。
※2 卵胞発育が不良の場合は、排卵日特定まで数回の来院を必要とす る場合があります。