Q 妊娠初期のホルモン補充周期で 少量の出血が続いています
ドクターアドバイス
黄体ホルモン補充療法について教えて ください。
黄体ホルモン補充療法によって出血する ことはあるのでしょうか?
石原先生 そうですね、出血しやすくなると思います。黄体ホルモン剤には注射剤、内服薬、腟坐薬がありますが、近年は腟坐薬の使用が世界的な主流になっています。通常は1日2〜3錠を採卵日から最長 10 週 頃まで使用します。腟坐薬は子宮腟部(子宮の入口)の近くまで挿入しますので、お薬が子宮の入口に接触して物理的な刺激になることもありますし、薬の成分の刺激によっても薄ピンク色の出血を伴うこともあります。黄体ホルモンを補充していない方でも、妊娠初期に多少出血することはありますから、たいていの場合は問題ないでしょう。通常は妊娠8〜 10 週目になると薬の使 用を中止しますので、それと同時に出血も 治まることがほとんどです。
ただ、下腹部に強い痛みを感じたり、出血の量が増えるようであれば、切迫流産の可能性もありますから、連絡のうえ受診されることをおすすめします。
着床期や妊娠初期に「安静」が必要なのは、 なぜでしょうか?
石原先生 安静にすることで、子宮の収縮を必要以上に増やさないようにするた めです。
日常の生活動作を最小限にするほどの強い安静は必要ないと思いますが、ストレスを受けるような動作や運動は控えたほうがいいですね。
子宮は何もしていない時期でもゆるく収縮していますが、妊娠して子宮が大きくなるにつれて、収縮する回数も増えます。しかし、収縮する回数が過度に増えると切迫流産につながることがあります。これを回避するために安静が必要で、さらにその役割を内側から担っているのが黄体ホルモン補充です。
続さんへのアドバイスをお願いします。
石原先生 繰り返しになりますが、少量の出血であれば、あわてずに少し安静を心がけてください。ただし、下腹部に強い痛みと出血をともなうようであれば、担当の先生に相談しましょう。また、続さんに限らず、多くの方にいえることですが、出血がみられると、つい「流産のサイン?」と悪いほうに考えてしまいがちです。しかしナーバスになりすぎてもお腹の赤ちゃんによくありません。そのような時は、受診することで安心される方もいます。お一人で不安をかかえずに、ご自身が安心するために受診されるのも一つの方法です。