自然の力を味方に-貧血とナツメ‐

貧血因は慢性

改善健康食や果実酒に使

医学博士生 予防医学に焦点をあて、東洋医学の 可能性を追求する。鍼灸、漢方、ウイ ルス免疫学、遺伝子学、薬膳など、活 動範囲は多岐にわたる。

妊活中の女性特に貧血に注意

 

不妊治療中の人には、慢性的に鉄分が不足している貧血(鉄欠乏性貧血)が多いといわれています。鉄分が不足すると、血液に乗って体のすみずみに酸素と栄養分が行き渡らなくなります。軽度の貧血では自覚症状がありませんが、重症になると動悸や息切れが起こり、疲れやすくなります。

また、体内で鉄分が不足すると「フェリチン」も不足します。フェリチンとは鉄を含む複合たんぱく質で、いわば体内の「鉄の倉庫」。このフェリチン不足が睡眠障害、うつ症状、肌荒れ、イライラ、疲労感などの原因にもなります。

貧血のまま妊娠すると、赤ちゃんが小さく生まれたり、早産になるリスクが上がります。しかし、貧血は鉄剤などを飲んでもすぐには改善されません。貧血ぎみだと感じている方はもちろんですが、症状がなくても、妊娠前から鉄分補給を日常的に行うことが大切です。

鉄分不足にナツメがおすす

 

鉄分不足を解消するのに効果的なのがナツメ。植物の果実で、鉄分の含有量はプルーンの 1  0  0 倍以上あります。ほかにも糖質、たんぱく質、ビタミン、カルシウム、鉄など、さまざまな栄養が含まれています。なかでも生のナツメには葉酸と鉄が豊富。胃腸の働きも良くすることから、漢方では女性の養生薬としてファーストチョイスされるほど。

そんなナツメと、滋養強壮などに使われてきた阿膠(ロバの皮のコラーゲン)の組み合わせは、大昔から「女性の宝」といわれるほど最強の処方です。鉄が大量に含まれており、血の巡りを良くし、体を温め、体力をつけるなど、女性の健康に重要な働きをもたらすからです。さらに美容効果も期待できるといわれています。

東洋医学では、「血が足りないと不安感を引き起こす」と考えられています。女性は月経や出産で血の不足が起きやすいので、補血作用のあるナツメを食材やお茶にして、日常的に取り入れています。韓国では産後の回復食としてナツメは欠かせないそうです。それだけナツメはいかなる時も女性にとって有用な食材。出産後は育児に追われて自分のことは後回しになりがちですが、妊娠前からナツメをとることが習慣になっていれば、忘れずに続けられると思います。健康な体を長く維持し続けるためにも、ナツメの摂取を始めましょう。

 

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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