Q 人工授精とどう違う? 自宅でできるシリンジ法
ドクターアドバイス
自宅でできるシリンジ法とは、どのよ うなものでしょうか。
福井先生のクリニックではシリンジ法 を提案するケースはありますか。
福井先生 当院で提案することはありません。もし提案するとしたら、シリンジ法のキットが清潔で医療器具として使える品質かどうかを調べて納得できた場合 でなければ患者さんにおすすめできないので。
ただ、ご主人が ED(勃起障害)の傾向があるようですので、タイミング法ではプレッシャーを感じてしまい腟内で射精できないという方には、リラックスして自分のペースで射精できるのでいいかもしれませんね。
シリンジ法と人工授精の違いを教えてください。
福井先生 シリンジ法は医療機関で行う治療ではなく、専用キットを用いて精液 を女性の子宮内ではなく腟の中に注入するものです。自宅で行うことができるので、あくまで夫婦生活の延長線上にあるものとお考えください。
人工授精は、医療機関で超音波検査をして卵胞の大きさ、子宮内膜を計測し、 血液検査で排卵前に上昇する LH(黄体化ホルモン)というホルモン値を測定して排卵日を予測します。その日に採取 した精液を選別・洗浄し、濃縮して子宮内に注入します。事前に超音波検査や排卵誘発剤などを使用して妊娠に最適なタ イミングで行うことができます。
購入する際の注意点があれば教えてください。
福井先生 まず専用キットは清潔に保つことで炎症を起こさないようにしましょ う。使用する際は、手をきれいに洗うなど気をつけてください。
シリンジ法を行う際は、タイミング法と同様に基礎体温などから排卵日を特定し、タイミングを合わせることが必要です。ご主人が無精子症の場合はシリンジ法では妊娠できませんし、精子が少ない 場合や、生理の周期が乱れているなど排卵障害がある方は妊娠しづらいかもしれません。大前提として排卵周期や AMH(抗ミュラー管ホルモン)、精液検査などの基礎的なことを医療機関できちんと検査したほうがいいですね。どこにも問題ない場合に行えば意味があるかもしれませんが、決して人工授精の代わりになるものではありませんし、まったくの別物と考えたほうがよいかもしれません。