Q 高プロラクチンなのに 治療ペースが遅くて不安です

林奈央先生 日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、新生児蘇生法専門 コースインストラクター。2006年、高知大学医学部卒業。姫路赤十字 病院で初期臨床研修修了後、同院産婦人科に勤務。神戸大学医学部 産科婦人科学教室へ入局し、同院勤務後、加古川西市民病院勤務。 2014年より英ウィメンズクリニックに勤務。

ドクターアドバイス

●高プロラクチン血症の各原因に合わせた治療をするだけで卵胞が育つことも。
●不妊専門の施設では、経験豊富な先生のもとで適切な時期に診察・治療が可能。
ポメラニオさん(35歳)からの相談 Q.産婦人科の不妊外来を受診して3周期目になりますが、す べての卵胞チェックで卵胞が確認できませんでした。排卵障害を疑い、3周期目にしてホルモン検査をしましたが、 結果はプロラクチンが負荷前40ng/mlくらい、負荷後 230ng/mlくらいと高かったので、すぐにカバサール® なりが処方されるものと思っていました。しかし、「次回は 次の生理後13日あたりに来てください。また卵胞が確認 できなければ、薬を使いましょう」と言われました。プロ ラクチンが高いのは明らかなのに、治療の歩みが遅いの ではないかと感じています。高プロラクチンに限らず、排 卵誘発剤などのお薬は必要でしょうか。 治療方針に疑問を 感じて転院を考えていますが、どう思われますか?

治療ペースや治療方針についてどう思われ ますか。

一般的な産婦人科と不妊専門の施 設に違いはあるでしょうか?

林先生 この方はもともと排卵不順、月経 不順がおありだったのではないかと思いま す。初診の時点でこのような訴えがある場 合、当院では卵胞チェックと並行して、原 因を調べる検査も行っています。

一般的な産婦人科の不妊外来は、妊婦 さんや婦人科の患者さんと同じ環境や診 察ペースで行われることが多く、頻回の チェックが必要な卵胞の発育をみる場合で も、次の診察日までの間隔が長くなること があります。また、不妊治療のお薬も保険 内の限られたものだけを扱っている施設が ほとんどです。一方、不妊専門の施設は、 不妊に特化しているため治療スピードが速 く、海外ではスタンダードに使われている 保険外のお薬なども扱っていますので、多 くの選択肢のなかで最適な治療を選べる利 点があります。

この方は高プロラクチン血症でしょう か。

また、排卵誘発剤は必要ですか?

林先生 プロラクチンというホルモンは、 食事の前後や日によっても変動しやすく、 1回の検査で判断するのはむずかしいので すが、明らかに数値が高いので、おそらく 高プロラクチン血症だと思います。

その原因には、①明らかな原因が見つか らない潜在性   ②甲状腺機能の異常   ③ 降圧剤、抗うつ剤、胃薬などによる薬剤性 ④脳の下垂体、視床下部の異常などがあり ます。なかでも多いのは潜在性のもので、 この場合はカバサール ® を週1回から処方 して様子をみます。また、潜在性のなかに は甲状腺機能の異常が隠れていることがあ りますので、甲状腺機能も検査しておく必 要があります。

明らかな原因が見つかった場合は、そ れぞれの原因を治療するだけでも卵胞がスムーズに発育する可能性があります。 それでも発育しない場合、原因として多 いのが多嚢胞性卵巣症候群(PCOS) です。もしもPCOSが疑われるようで したら、高プロラクチン血症を改善する お薬と並行して、排卵誘発剤を使ってみ るのも一つの方法です。

転院も検討されているようです。病院を 選ぶポイントなど教えてください。

林先生 不妊専門の施設は、治療スピード はもちろんのこと、不妊治療の経験豊富な専 門の先生が多くおられますので、妊娠の近道 になると思います。また、一般の不妊治療 で卵胞が育たない方には、体外受精へのシ フトを適切なタイミングでご提案できます。 ご年齢的にも大切な時期だと思いますので、 転院はともかく早期の治療が大切です。

施設を選ぶ時は、まず各施設のサイトな どで治療実績を確認してください。そのう えで、治療は医師と患者さんの人間的なお 付き合いですから、その先生を信用できる かどうかを見極めましょう。当院のように 複数の医師が在籍する施設であれば、患者 さんが主体で希望の診察日や先生を選べま すので、ご自分に合う先生を見つけやすい と思います。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。