Q 経血量が少ないと 妊娠しにくいですか?
吉田 仁秋 先生 獨協医科大学卒業。東北大学医学部産婦人科学教室入局、不妊・ 体外受精チーム研究室へ。米国マイアミ大学留学後、竹田綜合病院産 婦人科部長、東北公済病院医長を経て、吉田レディースクリニックを開設。 2016年1月に「仙台ARTクリニック」として移転・リニューアルオープン。
目次
ドクターアドバイス
●卵巣の予備能が少し下がっている可能性も考えられます。
●早めに基本的な検査を受けて、今の体の状態を知っておくことが大事。
みぃさん(36歳)からの相談 Q.これから妊活を始めるものです。いまだかつて試したこ とがないので漠然と悩んでいる状態です。まずは生理の こと。もともと生理自体軽いほうでしたが、最近は2日ほ ど出血し、3日目には終わってしまう月があります。2日 間の出血も少なくなったような気がします。基礎体温は おそらく2相、高温期も 14 日あります。おりものはあり ます。生理痛はたいていありませんが、1cmと2cmの筋 腫があるといわれています。年齢的なものなのでしょう か。もしくはホルモンバランスがよくないのでしょうか。 経血量が少ないと妊娠しにくいですか? また、増やすこ とができますか? 過少月経なのか、ただ軽いほうなの か見分けられず悩んでいます。
生理の期間が短くなったり、経血量が 少なくなる原因として、どんなことが考えられますか。
吉田先生 一つは、卵巣機能不全のようなケースで、みぃさんのような状態になることがあります。現在、生理の周期は 29 日か ら 38 日とのこと。正常な人なら生理の間隔 が長くなれば経血量は増えていきます。ところがみぃさんは、間隔は長くなっているのに経血量は減ってきている。卵巣の予備能が少し下がっているのかもしれません。このような状態を放っておくと、毎月生理はきていてもだんだん排卵しなくなってしまうこともあります。
また、婦人科系の病気が隠れていることも考えられます。たとえば子宮内膜症。この疾患になると経血量が増えるという印象があると思いますが、病変が子宮の内膜に達しているような場合は逆に経血量が少なくなることがあります。生理痛はないということですが、なかには痛みがない人もいるので可能性はないとはいえませんね。
子宮筋腫があるようですが、それが影響し ているということは?
吉田先生 1 cm と2 cm の筋腫があるようですね。大きさ的には問題ないと思いますが、筋腫の場合、どこにあるかが重要になってきます。子宮内膜の中にある粘膜下筋腫だと過多月経になることが多いので、この場所ではないと想像できます。おそらく筋層内や漿膜下にできた筋腫なのでは。そうなると経血量が増減することがあります。
ただ、筋腫自体は受精卵の着床以外は大き く影響しないので、現時点では心配されることはないかと思います。
これから妊活をスタートされるそうで すが。
吉田先生 まず、原因を見極めることが大事だと思います。年齢が 36 歳ということです から、なるべく早く病院で不妊に関する基本的な検査を受けることをおすすめします。ホルモンの状態は採血で調べられますが、なかでもAMH(抗ミュラー管ホルモン)の検査は受けたほうがいいでしょう。ご自身の卵巣の予備能を調べることができます。
この方の場合、すぐに治療が必要かどうか 現段階ではわかりませんが、状態が悪くてもホルモン剤を服用すれば月経血の量が増え、子宮内膜も厚くなっていきます。ほかの病気と同様に早期診断・早期治療が大事。とにかく検査だけは早めに受けて、今の体の状態を知っていただきたいですね。
生理の状況は突然変わることもあるの ですね。
吉田先生 35 歳を過ぎるとホルモンバラン スが変わってくるので、それが生理に影響することも少なくありません。年齢が若い方でもストレスや過度なダイエットなどで毎月きちんとこなくなることも。生理は女性の健康のバロメーター。異常や変化を感じたら基礎体温をつけて、正常な状態に戻らなければ早めに婦人科を受診するようにしましょう。