早発卵巣不全に高刺激はどうなのでしょうか

早発卵巣不全の診断。

専門クリニックへの転院と 高刺激の排卵誘発は有効?独身時代から高FSHにより採卵数が少 なかった相談者。

自身のタイムリミット を感じ、専門クリニックへの転院や高刺 激への治療に悩んでいます。

そこで蔵本 ウイメンズクリニックの蔵本武志先生に お聞きしました。

蔵本 武志 先生 久留米大学医学部卒業、山口大学大学院修了。山口県立中央病院産婦人 科副部長、済生会下関総合病院産婦人科部を経て、1990 年オーストラリア・ PIVETメディカルセンターへ留学。帰国後、1995 年蔵本ウイメンズクリニック開 院。JISART(日本生殖補助医療標準化機関)理事長。久留米大学医学部臨 床教授。

ドクターアドバイス

●早発卵巣不全とはいえないので早めの採卵を!
●低刺激法を行い初期胚凍結備蓄しては。
●妊娠しやすい体づくりを目指しましょう。
nikakoさん(41歳)からの相談 Q.37歳でAMH0.3ng/ml以下、39歳で0.16ng/ml以下と診断されました。D3の FSHは20~40mlU/mlが多く、今は採卵3~4回に対して1~2個しか採れません。 空胞も多く、排卵周期が生理周期とズレてきており閉経を感じています。そこで、早発閉経専門のクリニックへの転院を考えています。そちらでは高刺激も含めてさまざまな刺 激法を実施しているようですが、AMH0.16ng/ml以下に高刺激というのはどうしてもリ スクを感じます。以前、AMH0.3ng/mlで高刺激をしてもほとんど採卵できなかったこ ともあります。なにより、毎回お休み周期を取らなければならないことも不安です。今ま での方法で結果が出ていないので方法を変えたいという気持ちと、リカバリーする時間 がもうないのではと悩んでいます。早発卵巣不全に刺激法は有効なのでしょうか。

排卵の不安定さから早発閉経専門のクリ ニックへの転院をお考えのようです。

蔵本先生 お悩みの早発卵巣不全の定義ですが 「 40 歳未満で無月経となり、超音波検査で小さな 卵胞が見えず、FSH 値が 40mlU / ml 以上という 高い値で、卵巣機能が極端に低下した状態」の ことです。この場合、当然 AMH 値は測定最低 値の0・ 02 か測定不能を示します。
  しかし、nikako さんは AMH 値が低 いとはいえ採卵できたようですね。さらに周 期は乱れているとはいえ月経はきている。こ れらの状況を見ても、早発卵巣不全ではない と考えられ、必ずしも早発閉経専門のクリニッ クへの転院が必要だとは思われません。

 AMH 値が低い状態では高刺激の排卵誘 発はリスクがありますか?

蔵本先生 AMH 値は、年齢に伴う卵子数の 減少とともに、徐々に低下していくものです。41 歳という年齢のことを考えると胚盤胞になかなか発育しないので、胚盤胞だけではなく、 初期胚を凍結・複数個備蓄してから融解胚移 植するのがいいのではないでしょうか。
  また、nikako さんの FSH 値は 20 ~40mlU / ml と高く、血中エストロゲンが低い状 態です。ホルモンに対する卵巣の反応が悪く、 卵胞が育ちにくくなっていると思われますの で、FSH を落とす必要があります。その場 合、エストロゲン製剤を加えたり、「カウフマン療法」で通常の月経周期をつくり、ホルモ ン環境を整えていくことが必要になるでしょ う。

エストロゲン製剤を少量ずつ連日投与し、 血中 FSH 値を 10mlU / ml 近くまで下げて、ゴ ナドトロピン(排卵誘発剤)に対する卵巣の 反応を高めていきます。その後、クロミッド Ⓡなどによる低刺激法を行うことで、発育する 卵胞数は少ないかもしれませんが、いい条件 が揃えば育ってくると考えます。

また、短期間で行いたい場合は、ピルを使うこともあります。しかし急激なホルモンの 変化を起こすより、エストロゲン製剤で整え るほうをおすすめします。

もし高刺激法を選ばれるならば、ここから 2~3週間ほど FSH 製剤や HMG 製剤を 連日大量に投与することになります。この場 合、保険が利かないので費用は高額になるう え、連続して高刺激を続けますと、卵巣が疲 れてしまい反応が鈍くなるおそれがありま す。

ikako さんが心配されるように、 リカバリーの時間も必要になります。胞状卵 胞が3個前後であれば、高刺激を行っても劇 的に採卵数が増えることはないと思います。 まずは低刺激法を試し、いよいよ卵胞が育た なくなった時の「最後の手段」として考えて はいかがでしょうか。

ほかに取り組めることはありますか。

蔵本先生 治療と同時に、年齢的には「妊娠す る基礎」つまり体づくりが重要です。喫煙は避 け、快適な睡眠とウォーキング習慣を取り入れ てみたらいかがかと思います。また、アンチエ イジング効果が期待できるサプリもおすすめし ています。アスタキサンチンや L ーカルニチン、 ビタミン E や D 、葉酸などが含まれたサプリな ど医師と相談して摂取してみてください。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。