卵 の位置が悪いと言われ 一度も採卵できず半年。

刺激法を変えればいい!?1回のチャンスも逃したくない44歳での不妊治療。

でも、毎回、左側 の卵子の位置が悪く、右側からもうまく採卵できず約半年…。

今のまま の低刺激を続けて、本当に体外受精にチャレンジできるのでしょうか?

いくたウィメンズクリニックの生田克夫先生に伺いました。

 
生田 克夫 先生 名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室助教授、名古 屋市立大学看護学部教授などの経歴を重ねたが、不妊に悩む名古屋の方たちの 役に立ちたいという思いで、教育者の立場を辞して独立。地元・名古屋の中心部、 栄に開院し、1986年から体外受精の現場を歩いてきた経験と穏やかな人柄で、数 多くの患者さんを妊娠に導く。

ドクターアドバイス

●卵巣の位置によっては採卵が難しい場合も。
●右側からの採卵をメインにした刺激を。
●GnRHアゴニストを試すのもおすすめ。
アスパラみかんちゃんさん(44歳)からの相談 Q.現在の病院で体外受精を試そうと思い、低刺激で治療をしていますが、 毎回、左側の卵子の位置が悪く、無理に採ると出血も多くなるとのこと で採卵できません。先生の技術にもよるのでしょうか? ちなみに右側卵 巣の時は運悪く前回の卵胞が残っていたり、排卵してしまったりして採卵 できず、一度も体外受精にチャレンジできないまま、約半年が過ぎまし た。また、AMH0.99ng/ml、FSH10.1mlU/ml、LH4.1mlU/mlと、 年齢の通りあまりよくない数値です。でも高齢出産は時間がない分、高 刺激で卵子をたくさんつくり、そのなかからよいものを凍結保存して使 用すると思っていました。もちろん、卵子がたくさん採れても質が悪け れば意味がないことは承知していますが、私のような数値の40代女性 は高刺激と低刺激のどちらがいいのでしょうか?

これまでの治療データ

検査・ 治療歴

低刺激で人工授精12回。フォリルモン®P150注射など を毎回3回程度、レトロゾールを3日分程度などを使用。

不妊の原因と なる病名

不明

毎回、左側卵巣の卵子の位置が悪く、無理に採卵すると出血が多くなるから採卵できないとのこと。

採卵が不可能な卵子の位置というのはあるのでしょうか?
生田先生 卵子の位置というよりは、卵巣自体の位置が悪いのではないでしょうか。 
採卵する際には、腟から卵巣へ向かって専用の細長い採卵針を挿して、卵胞液ごと卵子を採取します。この際に、卵巣の位置が悪く卵子が見えにくい場所にあると採卵しづらくなります。また卵巣自体がかなり肥大していたりすると、穿刺側と反対側にある卵子を採ることが難しいという場合はあります。
 
ただ、卵子が深い位置にあるから出血が多くなるというわけではないと思います。うまく採卵針を刺せず、何度も刺すことで出血が多くなるということはあるかもしれませんが、採れないのでは話になりません。そこのリスクはある程度考えて採卵する必要はあるかと思います。ドクターのテクニックも多少は関係するかもしれません。採卵しにくいものは採らない方針のドクターもいるでしょう。卵巣が他の部位に癒着していて刺しにくいとなれば、その側は採卵しないというドクターもいると思います。

 
当院でも、腟壁と卵巣の間に多くの血管が走ってしまっていて、採卵針を刺すと確実に血管に穴が開いて危険な場合は、採卵自体できません。また、卵巣の位置が悪くて、腟壁と卵巣の間に小腸が入ってしまっているような場合も、小腸に針が刺さってしまう可能性が大きいのでやはり採卵はできません。
 
卵巣の位置がずれてしまったり、大きくなったりするのは、体質的なもので、過去の手術による癒着や炎症などさまざまな原因があります。年齢的にもある程度は仕方のないことかもしれません。卵巣の位置を修正する手術などをしても、あまり効果はないと思います。

左側卵巣からの採卵が難しいとなれ ば、今後の採卵は右側卵巣からがメインになるのでしょうか?

生田先生 アスパラみかんちゃんさんの場合、右側卵巣の時は運悪く……ということですが、卵胞が育たないということでもないようですね。そうであれば、採れないよりは採れるほう、つまり、右側の卵巣からの採卵をメインに考えるべきでしょう。
 
そのためには、もう少ししっかりと卵巣刺激をしてみるのも必要かと思います。そして、両方の卵巣の卵胞が育つようにして、採れない左側は無視して、右側卵巣の卵子を採りにいくという感じになりますね。

先生であれば、具体的にはどのような方法があると考えられますか?

生田先生 たとえば、同じ低刺激でも、レトロゾールを5日間ほど使って、5日目からは毎日HMGを150単位を注射していくとか。いっそGnRHアゴニストの点鼻薬を使って、完全に自分のLH分泌を止め、自然な排卵が起こらないようにしておく。そして右の卵巣からの採卵を試してみるのもいいかもしれません。そして、左側も遅ればせながら卵胞が成熟してくるなら、採卵を試みるのも一つの方法です。

アスパラみかんちゃんさんのような場合、高刺激と低刺激のどちらがいいのでしょうか?

生田先生  40 歳を過ぎた高齢の場合、もともとの卵子の数があまり残っていないので、数よりも質を重視する低刺激法をすすめられることが多いのは事実です。しかし、これは人によって、ある程度はやってみないとわからないところがあります。
 
今回のように半年間も採卵できていないのであれば、高刺激と低刺激のどちらがいいというよりは、たとえば、アゴニストを使うなど、これまでやっていない方法で刺激することで、今までと違う結果が出てくるのではないかと期待しますね。

 

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。