Q 多嚢胞の人工授精。 採卵数と卵胞の質どちらが大事?
ドクターアドバイス
エストラジオールが低めであることと、10 個の卵胞のうち大きいものでも 18 ㎜程度 で採卵できるのでしょうか。
福井先生 女性ホルモンのエストラジオールが662pg/ ml というのは確かに 低いです。おそらく理由としては、ロング法で脳下垂体のホルモンを下げてFSH製剤フォリスチムⓇを使っているので、エストラジオールが低くなり、なかなか卵胞が育たないのだと思います。ですが、レオさんのように多嚢胞性卵巣症候群の場合はエストラジオールが高くなりすぎると、副作用で卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起きやすくなるので逆に注意しなければなりません。若い人は特になりやすい症状です。
また、 10 ~ 20 個の卵胞すべてが 18 ㎜も あればエストラジオールが2000~3000 pg/ ml あってもおかしくないで すが、おそらくメインの主席卵胞が 18 ㎜ 程度で、それ以外は小さいのではないかと推測します。それと、そもそも 10 個も 採卵しなくていいと思います。2~3個でも成熟していればそのほうが断然いいのです。採卵数が上がるにつれてエストラジオールが高くなると、卵巣過剰刺激症候群の危険性が高くなりますから。
ロング法の特徴を教えてください。
中止するか、このまま採卵するか、福 井先生からアドバイスをお願いします。
福井先生 こればかりは採卵してみないとわかりませんから、今ここで中止する必要はないと思います。ただ、ロング法でうまくいかなければほかの方法を考えたほうがいいでしょう。別の方法を試すことで、次の対策を考えることもできますから。ホルモンの基礎値がわかればいいのですが、現状を見た限りでは、私ならわざわざたくさん採卵できるロング法を行わなくても人工授精で 4 個も採れていたのだから、その時のやり方で採卵していけばいいと思います。
最近では、「量より質」という考え方が主流です。必ずしもたくさん採卵できればいいというわけではなく、卵胞がちょうどいい大きさに育っているかどうかが大事です。ですから、多嚢胞性卵巣症候群の場合は、副作用を出さずに2~3個の成熟した卵子を採るほうが妊娠に近づけるのではないでしょうか。