Q 多嚢胞性卵巣症候群は 薬が効きにくいのでしょうか?
ドクターアドバイス
やんさんはクロミッドⓇが効きにくい体 質なのでしょうか?
佐藤先生 1 周期目はきちんと卵胞が育ったということなので、薬が効きにくい体質ではないと思います。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は卵胞が排卵できる大きさに育たない状態のことで、肥満型の女性に多いのですが、この方のような痩せ型の女性にもみられます。
PCOSの疾患がベースにあって痩せ型で生理不順の体質の場合、薬の効き具合が体調によって大きく左右されることがあります。薬を使っても卵胞が成長しないのは、頭からのホルモン分泌指令がうまくいかないのかもしれません。その周期の体調が影響した可能性が考えられます。
薬の効きについては、心配しなくてい いですか。
佐藤先生 はい、不安になる必要はないと思います。
医師としては、この方の食事や生活習慣はどうだったのかが気になります。ダイエットや日々の忙しさで栄養が偏ってしまったのか、強いストレスがあって体調を崩していたのか…。そういう時に薬や注射をたくさん使っても、卵巣は反応せず卵胞が成長しないことも多いんです。
ですから、体調を良くすることで、次は同じ薬が効く可能性はあると思います。
今の治療薬をどのくらい続けるといい ですか。
その薬の特徴を教えてください。
佐藤先生 レトロゾールは多胎妊娠のリスクが低いと言われている薬です。
PCOSは、排卵できない卵胞がいくつ も卵巣にたまっている状態です。薬を使うと、いくつもある卵胞が一気に育ち、その分、多胎妊娠のリスクも高まります。レトロゾールはクロミッドⓇより、少ない数の卵胞を育てるメカニズムをもっています。
ただ、PCOSでも不妊治療の第一選択 薬は、保険適用になるクロミッドⓇが主流です。レトロゾールは保険適用外の薬になるため、医師とよく相談してから使用してください。治療費もやや高額になります。
今後のアドバイスをお願いします。
佐藤先生 繰り返しになりますが、体調によって薬効が出ない周期もあります。 極端なダイエットやストレスは卵巣のはたらきを悪くするので、正しい生活習慣を心がけてください。
そして不妊の治療中は精神的なストレスも強くなりがちです。主治医の先生と信頼関係をつくりながら、リラックスして前向きに治療をしてほしいと思います。