低AMHでモデレート法を すすめられたけど、ショート法に チャレンジしたい!
ショート法かモデレート法?
ショート法は刺激周期 モデレート法は低刺激周期
ロング法に比べると短期間で卵胞が育 ちやすいため治療期間が短く、薬の使用量も少なくて済むため、時間的にも経済的にも負担が少ないほうだと思います。一方で、卵巣の機能が低下していると、卵胞が十分に発育しないというデメリットもあります。また、点鼻薬の効果がなかなか抜けないため、 1 回ショート法を行うと2~3周期は排卵誘発を行わず体を休める必要があります。
ショート法よりも刺激が少ない方法がモデレート法です。マイルド法や低刺激周期とも言われます。クロミッドⓇやフェマーラⓇなどの内服薬を投与し、HMG製剤を注射して低刺激で排卵を促す方法です。モデレート法は低刺激なのでショート法に比べると比較的作用が穏やかで、費用はもちろんですが体への負担が少ないのがメリットです。
まずは採卵に集中して 移植に移行する方法も
はるさんは、ご自身が低AMHなので刺激を与えたほうがたくさん採卵できると思われているのかもしれませんね。よく誤解をされる方が多いのですが、排卵誘発の刺激に応じて採卵数が増えるというわけではありません。特にAMHが低い方は、ショート法で刺激を与えて排卵誘発をしたとしても、採卵できる数はモデレート法とそれほど変わらないと思います。むしろ、刺激が強いので必要以上に卵胞が大きく育ってしまい採卵できずにキャンセルとなる可能性もあります。
また、ショート法の大きな欠点は、刺激が強いために毎周期の採卵ができないことです。 41 歳という時間のない状況で 2~3周期も不妊治療をストップするのは、非常にもったいないですね。はるさんには、毎周期にわたって継続的に採卵できるモデレート法のほうが適していると思いますよ。モデレート法については、これといったデメリットはないと思います。まずはモデレート法をやってみて、その反応をみてからショート法を考えてはいかがでしょうか。
刺激の強さと採卵数は 必ずしも比例しない
また、 40 代の方や低AMHの方の不妊 治療の計画として、少しでも若いうちに採卵して、良い受精卵をストックしておくという考え方があります。先にどんどん採卵をして胚盤胞を凍結し、次に凍結胚の移植に集中するということです。
モデレート法の場合、クロミッドⓇなどを使うとどうしても子宮の内膜が薄くなるので、すぐに移植というわけにはいきません。ですから、凍結胚がたまるまでモデレート法を続けて、クロミッドⓇをやめる。子宮内膜がちゃんと元のように厚くなって、準備が整った時点で移植を始めればいいのです。時間のない方にはおすすめの不妊治療計画です。はるさんも凍結融解胚移植を予定されていますね。ちなみに、ショート法の場合は、子宮の環境が整っていれば新鮮胚移植と凍結融解胚移植どちらも選ぶことができます。
体に刺激の少ない 方法から始めて 原因と対策を考える
これまでの話は、刺激を与えて排卵誘発をする採卵方法ですが、モデレート法よりさらに刺激のない方法として排卵誘発を行わない自然周期があります。私なら、モデレート法もしくは自然周期から始めることをおすすめします。自然周期とは、排卵誘発を行わずに、自然な月経周期の中で育ってくる卵子を採卵して受精させる方法です。この方法は、原則として新鮮胚で移植します。それで妊娠できるかもしれませんし、うまくいかなくてもできるだけ自然に近い方法なので、その間にホルモンや子宮環境を診ながら不妊の原因を探ったり次のステップを考えたりすることもできます。
もし、それでうまくいかなければ、モデレート法のように低刺激で排卵誘発を続けます。自然周期もモデレート法も毎周期続けてチャレンジできるので、治療をしながら原因と次の対策を練るという意味では、AMHが低い方や時間のない高齢の方にはとても有効だと思います。