40代の不妊治療で考える「ステップダウン」

40代の不妊治療で考える 「ステップダウン」 そのメリットとは?

40代の不妊治療で結果が出な い時、治療を続けるか、諦める べきか…。

決断に悩む方も多い と聞きます。

そこで第3の選択 肢ともいえるステップダウンに ついて、英ウィメンズクリニッ クの松本由紀子先生に伺います。

 

松本 由紀子 先生 2001年浜松医科大学医学部を卒業後、岡山大学医学部 産科婦人科学教室に入局。神戸掖済会病院、岡山済生 会総合病院、姫路赤十字病院を経て、2007年より英ウィ メンズクリニック勤務。2013年に副院長就任。プライベー トでは、9歳と2歳のお子さまのママとして多忙な先生。この 冬もご家族や親戚と恒例の旅行のご予定とか。「子どもが成 長して、旅支度や移動がラクになりました(笑)」。

 

ドクターアドバイス

体外受精から人工授精の 治療転換が「ステップダ ウン」。

妊娠のチャンスが ある一方、治療終了の準 備期間と捉えることも。

40歳以上の 体外受精の妊娠率は どのくらいあるの?

当院の 40 歳以上の体外受精の 妊娠率は、卵子が4個以上採れれ ば 34 ・ 3 %。卵子が2〜3個であ れば 15 %となっています。

一方 で、 40 歳以上の流産率は 41 ・ 6 % と高く、実際に出産まで至る方は 半数以下です。

ちなみに、人工授精による全体の妊娠率は、人工授 精 1 回あたり8%です。

40 歳以上 については、人工授精をされる方 がほとんどいないためデータが ありません。

その理由として、 40 歳以上では 体外受精の妊娠率のほうが高い ことがあげられます。

40 歳を過ぎ ると 1 年ごとに妊娠率は顕著に 低下します。

そのため、少しでも 妊娠率が高いうちに治療できる よう、 40 歳前後の方には、来院と ともに体外受精をおすすめして います。

ステップダウンで 妊娠の可能性は?

一般的に体外受精で結果が出な い方が、人工授精やタイミング法 に変えることをステップダウンと 呼んでいます。

先述のように、 40 歳 前後でご結婚されて、人工授精を 一度もされずに体外受精に進まれ る方も多くいます。

このような方 が体外受精で結果が出なかった場 合、ステップダウンすることで妊 娠されることがあります。

体外で 授精卵を培養するのではなく、自 分の卵管で受精卵が発育し自然妊 娠のほうが合う場合もあります。

ただ、無精子症や両側卵管を切 除された方は、体外受精の絶対適 応です。

また、すでに人工授精の 治療を経て、結果が出ずに体外受 精に進まれた方は、妊娠率が低く なる傾向があります。

それでも体 外受精でなかなか結果が出ない場 合、あえてステップダウンをする ことにも意味があると思うので、おすすめしています。

ステップダウンの メリットはある?

体外受精の費用は高額ですし、 経済的、心理的な理由でなかなか 結果が出ない体外受精を続けるこ とに、抵抗を感じる方は少なくあ りません。

一方で、治療は諦めた くないという方は結構いらっしゃ います。

このような方にも、ステッ プダウンを選択肢としてお伝えし ています。

体外受精をやめる=不 妊治療の終了ではなく、ステップ ダウンすることで不妊治療を継続 していけることがメリットです。

結果的に気持ちがラクになって妊 娠される方もいます。

また、ステップダウンは治療を 終了するための準備期間でもあり ます。

ご夫婦でこれからの人生に ついて考えた末、「最後にもう一 度だけ体外受精をして、治療を終 わりにします」という方もいます。

実は、私自身も二人目不妊で体外 受精を経験しました。

何年もうま くいかなかったのですが、どうし ても治療をやめることはできませ んでした。

「ここまで治療を頑張っ たから、もう悔いはない」と自分 が納得できるきっかけを見つける までは、治療をやめることは難し いと実感しています。

とはいえ、 ご夫婦で「もう治療をやめてもい い」という時は必ず訪れると思い ます。

それまでは、患者さまの気 持ちに寄り添っていきたいと思っ ています。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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