着床しなかった原因を教えてください

凍結胚盤胞移植に失敗。

原因は受精卵の問題?

それともストレス?

大島 隆史 先生 自治医科大学卒業。1982年、新潟大学医学部産科婦人科学教 室入局。産婦人科医として3 年間研修後、県内の地域病院の 1 人医長として4 年間勤務。1992 年、新潟大学医学部において医 学博士号を授与される。新潟県立がんセンター新潟病院、新潟県立 中央病院勤務を経て、1999 年、大島クリニックを開設、院長に就任。 40歳以上の不妊治療の助成金は10回から3回に改正されましたが、 こちらのクリニックでは3回目以降の7回分は施設側が助成分を負担。 後悔なくチャレンジできると、患者さんの励みになっているようです。
ねこねこさん(38歳)からの相談 Q.先日、グレードが4CBの凍結胚盤胞を移植しましたが、陰性に終わりました。 移植当日は仕事があったため、病院までかなり急ぎながら運転しましたが10分 ほど遅刻。また、これまで移植当日に落ち込むことがあり、移植後には浮かな い気持ちで過ごすこともありました。病院のデータでは4CBだと着床率は40 %、出産率は20%だとか。先生からは「PGSをしていないので確定的ではな いが、受精卵の問題が原因だと思う」と詳しく説明していただきました。ただ、 ネットで調べると「精神的なストレスが着床に関連している」などの情報も。私 が移植前に焦っていらだったり、落ち込んだりしたからうまく着床できなかった のでしょうか。「大切な命を守れなかった」と今、とても悔やんでいます。

今回陰性の結果になったことと、移植当 日やその前後に受けたストレスと何か関連 はあるのでしょうか。

大島先生 移植して9日目の判定で h CG の値が1・ 36mIU/ml あったということです から、少なくとも着床はしていたはずです。
着床はしたけれど、その先に進むか進まな いかは受精卵の問題だと思いますから、担 当の先生が説明された通りととらえてもい いのではないでしょうか。
ストレスが着床に大きな影響があるかど うかは何ともいえません。
科学的根拠のあ るデータはあまり見たことがありませんね。
ストレスがあると血管が縮んで血流が悪く なるといわれていますが、骨盤内はもとも と血流が良くないところですから、それが 移植の当日や移植前後の数日で急に悪くな るというのは考えにくいと思います。
ねこねこさんは6年前に人工授精で一人 目、2年前に5CCの凍結胚盤胞で二人目 のお子さんを妊娠・出産されています。
今 回も着床はしていますから、着床する・し ないではなく、そこから先がうまくいかな くて陰性という結果になったのでは。
とな ると、やはり受精卵自体の問題ということ になってくるでしょう。

移植した胚盤胞の質があまり良くなかっ たということですか?

大島先生 治療を受けていらっしゃる病院 のデータでは、4C B の着床率が 40 %、妊 娠率が 20 %ということ。
かなり高い数字な ので驚きました。
以前見たアメリカの統計 だと、4C B の着床率や妊娠率はほぼゼロ でした。
CCに関しても同様です。ただし、 これはあくまでも見た目の評価。
BやCと いうのは細胞の量で判定しており、働きが いいかどうかはわかりません。
当院でも、 7日目の4C B の胚盤胞で妊娠・出産した ケースがあったので確率はゼロとはいえませんが、低いことは間違いないでしょう。

また、 38 歳頃になると良好な胚盤胞でも 7割程度に染色体異常がみられますから、 今回のねこねこさんのように着床しても妊 娠を継続できないケースはよくあることだ と思います。

ただ、 30 代後半の方でも卵子が 15 個程度 採れれば、出産まで至る確率は 25% くらい までいくのでは。

40 歳以上になるとそれが15% まで下がってしまうので、気持ちを切 り替えて、早めに次の採卵にチャレンジし ていただきたいですね。
ストレスが直接、妊娠に影響することは ないと思いますが、うまく解消できればそ れに越したことはありません。
通院先の施 設がカウンセリングを設けているようであ れば、一度相談されてみては?
 つらい時 は看護師さんなどにちょっと話を聞いても らうだけでも、だいぶ楽になると思います。
また、ご主人にも治療のことを相談でき るといいですね。
1人で悩みを抱え込んで しまうと治療を途中で挫折してしまうケー スも多いようなので、やはり不妊治療にとっ てストレス解消や気持ちの切り替えは大切 になってくると思います。
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