【Q&A】PGTAとトリオ検査~浅田先生

cobさん (40歳)
2人を自然妊娠、出産後、3年程前から3人目にチャレンジしていますが自然妊娠は出来るものの、立て続けに3回初期流産を経験し、PGTAをすることにしました。半年位採卵を続け、正常胚(見た目グレードA判定)を得ることが出来たので自然周期で移植をしましたが着床しませんでした。再び正常胚を得たのですが見た目グレードE、前回着床しなかったことがショックで移植前に出来る限りのことはしてから移植に挑みたいと思っております。トリオ検査はあまり勧められなかったのですが、有効でしょうか?

浅田先生に聞いてきました

浅田レディースクリニック 浅田義正 先生
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

2人を自然妊娠された後、現在3人目にチャレンジされているということですが、40歳になれば、妊娠しても流産となる確率は50%以上です。
そのため、3回の流産というのは年齢からいうとそれほど珍しいことではありません。40歳以上で3回連続で正常妊娠する確率の方が、3回流産する確率よりもずっと低い確率です。
また、“着床しなかった”ということですが、通常、胚盤胞の翌日頃には着床の現象はおきますので、妊娠判定までに胚の成長が止まったと考えてほしいと思います。
流産を防ぐために、PGT-Aをされることは正解だと思います。
胚のグレードは胚の形態で判断するため、胚の中の染色体の異数性とは基本的に相関しませんので、PGT-Aが必要となります。
ただPGT-AでA胚だと判定されても、妊娠する確率は移植当たり60%~70%で、後の30~40%は遺伝子の構成と発現と考えられています。
PGT-Aを行っても、遺伝子のバランスや発現が改善されるわけではありません。

トリオ検査については“あまり勧められなかった”というのはその通りです。
トリオ検査の中のERA検査については、否定的な論文が多く発表されていますし、むしろERA検査を行うことにより、妊娠率が低下するという無作為化比較試験の結果が発表されています。
むしろ検査はしないほうがよいということで、発明者である1人の医師は反省の見解を出しています。
海外ではトリオ検査は「妊娠率を上げるエビデンスにはつながらない」というのは定説だと思います。
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