AMHが0.16未満で 卵胞が育ちにくく 月経も長引くのはなぜ?

岡本 恵理 先生 大阪市立大学医学部、同大学院の医学研究科修了。大阪市立大学医 学部附属病院、大阪市立住吉市民病院、大阪府済生会千里病院の各 産婦人科を経て、2007年1月より英ウィメンズクリニックに勤務。2013年 6月より妊孕能温存部門部長に就任。A型・射手座。がん患者さんの妊 孕能温存を広く啓発するため、不妊治療クリニックとがん治療を行っている 病院との橋渡しに日々奔走。また「兵庫県がん・生殖医療ネットワーク」で も活動。そんな先生の最近の楽しみは、夜のオンライン英会話だそう。
ゴナピュールさん(35歳)からの相談 Q.今周期より体外受精を始めました。過去に体外受精で妊娠し流産。その後、自然妊娠、 出産後に子宮外妊娠し、片方の卵管を切除しました。もう1人子どもが欲しいと思い、 再度体外受精に挑んでいますが、AMHが0.16ng/ml未満と低いそうです。生理 開始3日目よりフェリングⓇ75IU、ゴナピュールⓇ150単位を注射とブセレキュアⓇ点 鼻。本日卵胞の発育具合を診察してもらいましたが、ほとんど育たず、3日後の再診 になりました。注射も再診まで継続です。医師にはかなり卵巣の働きが悪いと言われ ました。生理開始から1週間経つのですが、まだ完全に終わらず少量出血しています。 これも影響しているのですか? 卵巣の働きが悪いとのことですが、妊娠できる希望 は少ないのでしょうか? 私にできることは何かありますか?

低AMHの場合

AMHが 0 ・ 16ngml 未満と低いそうで す。どのような治療が考えられますか。
岡本先生 AMHが低い場合、積極的に排卵誘発をしても、発育卵胞数が少ないことはよくあります。
現在ショート法をしておられるようですが、HMG量が1日225単位とのことで、この方のAMHを考慮すると少なすぎるかもしれません。
もし今回発育が悪ければ、今後はHMG量を増やすのもひとつ。
具体的には、HMG量を450単位に増やし、より強い刺激を行って卵胞発育をうながしてもいいかもしれません。
一方で、低刺激法で排卵誘発を行う選択もあります。
早発卵巣不全の患者さんは慢性的にFSHが高くなっており、HMG製剤と同じ作用をもつFSHの刺激に慣れてしまった卵巣に、HMGをいくら投与しても卵巣の反応が悪くなる傾向にあります。
HMGをたくさん投与して、強く刺激することで、卵子の数が増えるのであれば、この方のメリットになります。
一方、HMGで強く刺激しても卵子の数が2〜3個であれば、低刺激でも2〜3個は採れるので、ご本人の体の負担を考えると、低刺激法のほうがよいでしょう。

長引く月経と卵巣機能

月経が長引いているのは、点鼻薬の影響でしょうか。
岡本先生 仮にショート法を行っている場合、月経が始まる頃に点鼻薬を使用していれば、その影響で月経が長引いている可能性はあります。
点鼻薬をはじめると、脳下垂体から一時的にLH(黄体化ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)が急激に分泌され、しばらくして低下します。
一時的にこのホルモン値が高くなった時、月経が長引く(不正出血する)ことがあります。
月経が長引いていることで卵巣の働きが悪くなるわけではありません。
逆に、卵巣の働きが悪く卵胞が発育しない場合、月経が長引くことはあります。

治療以外に出来ること

これからゴナピュールさんにできることはありますか?
岡本先生 AMH 0 ・ 16ng/ml 未満という数値は、当院で検知できるギリギリの数値です。
とはいえ、実際にAMHが検知できなくなった状態でも、まだ卵巣に卵子が残っている可能性はあります。
その卵子が育ってくる間は、妊娠の可能性はあります。
いま、この方にできることは、卵巣の老化を防いで、できるだけ現状をキープすること。
そのため、現在使用しているマルチビタミン、葉酸、亜鉛などのサプリメントに加えて、卵巣の若返りのホルモンといわれているDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)を試してみてはいかがでしょう。
ほかにも、DHEA卵巣の血流をよくするために、低周波レーザー治療や、鍼灸を試してもよいと思われます。
35 歳という年齢を考えると、たとえAM Hが低くても妊娠できる可能性は十分あると思います。
諦めずに続けていくことが大切だと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。