36歳でAMH1.2の低値。
2人子どもが欲しいなら 体外受精しないとダメ?
波多野 久昭 先生 日本医科大学卒業。ハンブルク大学産婦人科学教室留学後、日本 医科大学付属病院産婦人科学教室講師、飯田市立病院産科科長 を経て、2005 年ノア・ウィメンズクリニックを開院。開院して10 年、 2015年10月からは電子カルテを導入。春ごろから準備を進めてき た予約システムがいよいよ稼働。「この本が出るころには運用が始まっ ていると思います。パソコンやスマートフォンから24 時間いつでも予 約ができるようになるのでご期待ください」と先生。
まーまーさん(36歳)からの相談 Q.生理不順で産婦人科を受診したところ、年齢的に子どもを希望するなら不妊専門 の医師のもとで治療したほうがいいと言われ、不妊治療、不育症などさまざまな 科のある周産期母子医療センターに昨年7月から通院しています。3周期ルナベ ルⓇ配合錠を服用すると卵胞の発育が良くなり、自然周期でのタイミング法を始め ました。直前に卵管造影検査で右卵管膨大部に狭窄がありましたが開通しました。 4周期目でAMHが1.2ng/mlの低値だということが判明。FSHは11mIU/ml でやや高めと言われました。6回タイミングをして、4回連続で化学流産。今回 は試しにと勧められAIHをしました。あと3回ゴナールエフ Ⓡの卵巣刺激でタイミ ングかAIHをして授からない場合、ロング法での体外受精を勧められています。 2人欲しいなら体外受精の胚を凍結保存しないと無理と言われています。
低AMH
これまでの治療について、先生はどのように思われますか?
波多野先生 3 カ月間ルナベルⓇを使ってピルで卵子の発育の足並みをそろえておいて、
4 周期目から卵子が育ってきたからその前に卵管造影検査、 4 周期目からタイミングをしたということですね。
4 周期目から卵子が育ってきたからその前に卵管造影検査、 4 周期目からタイミングをしたということですね。
このやり方はよかったと思います。
卵管造影検査をして狭窄があったのを通したということですが、開通した直後は妊娠のチャンスも増えてくると思います。
AMHは 35 歳前後で 4ng/ml くらいが平均で、 1.2ng/ml だと 40 代の値です。
FSHの 値も高めですから、卵子の数は少ないのだろうと思います。
ただ、AMHの値が低いから妊娠しにくいということでもないですし、まだ治療を始めたばかりなので、しばらくはタイミング法で様子を見てもいいということなのだと思います。
実際、何回か妊娠反応が出ていたということもありますしね。
同じ方法でやっていけば、うまくいく可能性があると判断されたのだと思います。
1.2ng/ml はすぐに閉経してしまうという 数値でもありませんから。
ショート法を試してみる
あと 3 回人工授精をしてうまくいかない場合、体外受精を勧められているとのことです。
波多野先生 半年間タイミングをやってきていますから、そろそろそんな話が出てきてもおかしくないと思います。
ただロング法ではなく、ショート法のほうがいいのではないかと思います。
ロング法とショート法の違いは、排卵をコントロールする点鼻薬をする期間の違いです。
生理がくる前から点鼻薬を使うのがロング法、生理が始まってから始めるのがショート法です。
ショート法のほうが卵子がたくさん採れる可能性があります。
ショート法では、AMHの数値の 2 倍くらいの数の卵子が採れるという報告が多いです。
ご主人の精子の状態も良さそうですし、タ イミングとAIHでは条件はあまり変わらないので、AMHが低い場合は少し早めに体外受精に切り替えたほうがいいというのが一般的な判断ですが、化学流産が何度かあるのでもう少し試してみてもいいのか、少し迷うところですね。
受精卵をキープしておく
2人目を考える場合は体外受精でないと無理というのはどうしてなのでしょうか。
波多野先生 これまでの経過からすると、今の治療を続けていれば妊娠に至る可能性が高いように見えます。
もし子どもは1人だけでいいということであれば、タイミング、人工授精でもうしばらく様子を見てもいいかもしれません。
ただ1人目を妊娠・出産した後にさらにもう1人となると、2~3年後になるわけですから、今よりAMHが下がり卵子の数が減っている可能性が高いです。
それなら今のうちに採卵して体外受精をし、受精卵を凍結しておいたほうがいいという判断なのでしょう。
このストーリーは正しいと思います。
受精卵を凍結しておいて、そのうえでタイミングを続けるという方法もあります。
2人目用に受精卵をキープしておくということです。