治療がスタート。
どんなことを知って おけばいいですか ?
高齢になってからの不妊治療は、 若い人と比べてどこが違うので しょうか。
治療内容やスピード 感、臨む時の心構えなどについ て、高崎ARTクリニックの堀 川隆先生に伺いました。
ドクターアドバイス
少しでも早く、今できる限 りの方法で積極的にトライ して後悔のない治療を!
若い時と比べて、 妊娠率はどれくらい 変わってきますか?
日本産科婦人科学会のデータに よると、体外受精を行った場合、20 代半ばだと移植あたりの妊娠率 は全体の4割ほどですが、 35 歳以 降から下がりはじめ、 41 歳を過ぎ ると治療をしても2割以下に。
年 齢が高くなっていくと逆に流産率 は上がっていくので、赤ちゃんを 抱っこできる生産率は 40 代になる と1割以下になってしまいます。
高齢になると妊娠率が低下する のは卵子の質の低下が大きな要因 になっていると思いますが、それ 以外にも夫婦生活の回数が減ってく る、更年期に近づいて生理の周期にばらつきが出てくる、婦人科系 疾患が増えてくるなど、どうして も妊娠しづらい要素が増えてくる せいだと考えられます。
治療のスピードは どのように 考えればいい?
一般的には、年齢が 30 代で治療を 開始した場合、タイミング療法6周 期・人工授精6周期というペースが 多いと思いますが、 40 代になると1 年ごとに妊娠のチャンスががくっと 落ちていくので、もっと急ぐ必要が あると思います。
結婚してすぐならタイミング療法 を3周期くらい、1年程度正しい自 己タイミングをとってきたという方なら、また同じことをしても時間を ロスしてしまうことになるので、タ イミング療法を飛ばして人工授精を 3~6周期行うとか。
また、 40 代の 場合、当院では最初から体外受精を 治療の選択肢に入れています。
まだ 質の良い卵子がある時に、一番妊娠 率が高い治療法を早めに行うという 選択もあるのではないでしょうか。
どの方法にするのか、最終的に は患者さんと話し合って決めてい きますが、「早くこれをやっておけ ばよかった」と後悔してほしくな いので、現実的なデータとともに その時期にできるすべての治療法 を提示しています。
40代でも妊娠しやすい 条件はありますか?
見た目に個人差があるように、 同じ 40 代でもなかには若い卵子を 多くもっている人もいます。
高齢 でも妊娠しやすい条件があるとは 明確にいえませんが、基本として 排卵が順調な人、それからAMH (抗ミュラー管ホルモン)の値があ る程度高い人。
この数値はあくま でも目安ですが、下がっていなけ ればまだ卵巣予備能に余裕がある のではないかと考えられます。
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もう一つは、年齢が上がると子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科 系の疾患が増えます。
これらの疾 患は妊娠の妨げになるので、ない ほうが望ましい。
明らかに病変が あれば、早く治療をしておくのも 重要なことだと思います。