多嚢胞性卵巣、高プロラクチン、インスリン抵抗性、卵巣囊腫

基礎体温も生理周期も 正常だったので、正直、 検査結果にショックです

山口 剛史 先生 奈良県立医科大学卒業。2007年京都府立医科大学大学院医学 研究科統合医科学専攻、同博士課程修了。公立南丹病院、京都 府立与謝の海病院産婦人科医長勤務などを経て、2010 年より醍 醐渡辺クリニック勤務。O 型・天秤座。大学時代から続けているラ グビーをこよなく愛する先生。相当厳しかったという練習も、今では懐 かしい思い出に。数年ごとに行われる次回のOB戦では、先生はちょ うど48 歳。「体力的にはキツイですが、頑張ります!」。
ゆいさん(29歳)からの相談 Q.妊活を始めて1年がたっても赤ちゃんを授からなかったので、病院で検査をして みたのですが、結果、多嚢胞性卵巣高プロラクチン血症、インスリン抵抗性、 卵巣嚢腫と診断されました。基礎体温は正常だったし、生理も28日周期で遅 れたこともなかったので、こんなにいろいろ抱えていたのかと、正直、ショック が大きかったです。そこで質問させていただきたいのですが、①このような診 断をされた場合、やはり病院に通院して薬を使わないと子どもは授かれないので しょうか? 漢方や体質改善などでは無理ですか? ②インスリン抵抗性と言われ たら、食べ物は野菜しか食べられないのでしょうか? 友人がそういった生活をし ていたので。③同じようにいろいろな不妊要因を抱えてる方はどれくらいるので しょうか? ただただ不安で、何かアドバイスをいただけるとうれしいです。

検査の重要性

妊活後、初めて受診した病院での診断結果にショックを受けておられます。やはり不妊専門の施設で治療が必要でしょうか?
山口先生 基礎体温も正常で月経不順もないとのことですが、たとえ通院せずにタイミング法などで妊娠を目指すとしても、この機会に必要最低限の検査は受けておくのがいいと思います。
まず、きちんと排卵が起こっているかどうかをエコー検査で確認してもらいましょう。
基礎体温がきちんと二相性を示していたり、月経周期に異常がなくても排卵障害を起こしている場合があります。
さらに、卵管の疎通が保たれていることを確認する子宮卵管造影検査、性交後の頸管粘液を採取して精子の状態を調べるヒューナーテストで男性の精液所見を把握しておくことも必要だと思います。
これらはすべて自然妊娠が可能かどうかを調べるための、不妊治療を始める前に欠かすことができない検査ばかりです。

インスリン抵抗性について

インスリン抵抗性についてはいかがでしょう。不妊の要因となりますか?
山口先生 どのような診断を受けたのか気になりますね。
簡易な検査方法としては、空腹時血糖と空腹時血漿インスリンの値から計算する指数があるのですが、この指数が 1.6 未満であれば正常、 2.5 以上がインスリ ン抵抗性ありと診断されます。
BMIが 25以上あるような肥満であれば、食事に気をつけて体質改善を心がけることは効果的かもしれません。
絶対に必要というわけではありませんが、漢方療法を試みるのもいいでしょう。
それにインスリン抵抗性があるから野菜しか食べられないということはありませんよ。
野菜だけでは食生活のバランスも悪くなりますし、逆にやせすぎても月経異常をきたします。
体質改善は大切ですが、症例に応じて経口血糖降下剤のメトホルミンを用いることもあります。
これは本来、糖尿病を改善するためのお薬ですが、インスリンの過剰な分泌を抑えて排卵障害を改善する働きがあるので、最近は多嚢胞性卵巣症候群の治療によく使用されています。

排卵障害の可能性

可能性として不妊の要因が複数ありそうですが、妊娠を目指すには通院して治療を行うのが近道なのでしょうか?
山口先生 ゆいさんのようにいろいろな不妊要因を併せ持った患者さんは、当院にもたくさんいらっしゃいます。
今回のご相談で不妊の要因となっている可能性が高い診断結果としては、多嚢胞性卵巣症候群の診断基準には至らないが卵胞が多い、プロラクチンが高値である、卵巣嚢腫がある、この3つの状態です。
特に卵巣嚢腫が子宮内膜症嚢胞、いわゆるチョコレート嚢胞であれば、よく遭遇するのが黄体化非破裂卵胞(LUF)による排卵障害です。
これは卵胞が破裂することなく、排卵しないまま黄体へと変化している状態です。
発育する卵胞が小さくないか、排卵障害がないかなど、やはり一度、専門医の診察を受けてご相談されることをおすすめいたします。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。