着床できるかは卵で決まる?

着床できるかは卵で決まる?

せっかくできた受精卵を移植しても着床しないと悩んでいる方が大勢います。

着床と卵子の質はやはり 関係するのでしょうか。

とくおかレディースクリニックの徳岡先生にお聞きしました。

徳岡 晋 先生 防衛医科大学校卒業。同校産婦人科学講座入局。自衛隊 中央病院産婦人科勤務後、防衛医科大学校医学研究科に 入学し、学位(医学博士)取得。2005年、とくおかレディー スクリニックを開設。クリニック内のジムで、コーチに 指導を受けながらトレーニング中。これまで週2回のペー スを週1回に減らしたところ、体重は維持しているもの の体が緩んできたそう。「もう1回気合いを入れてトレー ニングしなければ!」と先生。

ドクターアドバイス

歳でも若いうちに受精卵を

着床できるかどうかは、卵子の質によって 決まるといっても過言ではありません。

卵 子は高齢になるほど染色体異常をもつ確率 が上がるので、少しでも若いうちに受精卵 を確保することが着床~妊娠・出産のため に重要です。

着床の基礎知識チェック!!!

〇着床するかどうかは卵子の質で決まる

〇年齢が若いほど着床する確率は高い

✖移植後なるべく動かないほうが着床しやすい

✖胚盤胞を戻せばほとんどの場合着床する

着床するってどういうこと?

卵子と精子が卵管で出合って受精卵と なったのち、分割を繰り返しながら卵管 を通って子宮に向かいます。

そして厚く なった子宮内膜に潜りこんで根付くと着 床となります。

着床の時、子宮内膜の状態は?

子宮内膜は受精卵のためのベッド。

排卵後ホ ルモンの働きにより、受精卵が潜りこみやす いようにフカフカに厚くなって準備を整え、 子宮にやってくるのを待っています。

 受精卵が着床しないのは 卵子の質による 場合がほとんど

まず受精卵が着床するしくみをおさら いしてみましょう。

排卵は月に1回起こ りますが、その2~3日前から、子宮頸 管には精子が通りやすいよう粘液が増え てきます。

排卵が終わるとまた粘液はな くなり、子宮の入り口はぴったりとくっ ついて、精子は入ることができなくなり ます。

子づくりをしようという時、排卵 の日に合わせて性交渉をもとうと考える 人が多いですが、排卵がいつ起こるのか ピンポイントではわかりません。

ですの で、排卵が起こりそうな日の数日前から 1日おきに2~3回タイミングをとれれ ば、精子は頸管粘液が増えた時に子宮へ と入っていくことができます。

子宮の中に入った精子は卵管へと向か い、卵管膨大部で線毛に頭を突っ込んで、 卵子がくるのを待っています。

腟内に射 精された精子は1~2億個いますが、子宮を通り卵管に到達するのはその中の わずか1000個くらいだといわれてい ます。

そこに排卵された卵子が卵管采で ピックアップされて取り込まれてくる と、精子が一斉に取りついていき、生存 競争に勝った1匹がスッと中に入り、受精となります。

受精卵はその日のうちに2細胞期胚に なり、2日目に4細胞期胚、3日目に8 細胞期胚と分割しながら卵管を子宮のほ うにさかのぼっていきます。

そして4日 目には桑実胚、5日目に胚盤胞となり、 子宮に入っていきます。

そして厚くなっ た子宮内膜に潜りこみ、根をおろせば 着床となります。

うまく着床すれば、妊娠 5 週頃に赤ちゃんが入っている袋である 胎嚢を確認することができ、臨床妊娠と判 定されます。

これが妊娠までの流れですが、障害にぶ つかると妊娠は成立しなくなります。

卵子 を卵管に取り込めないピックアップ障害や 卵管閉塞・狭窄などが原因の場合もありま すが、妊娠に至らないもっとも大きな原因 は卵子の染色体異常です。

国立成育医療研究センター(東京都)の先 生からの報告によると、体外受精で妊娠反 応がプラスに出た人が実際に出産する確率 は、 20 代の人で 20 %強ですが、 40 歳では 8 %、45 歳では 1 %ということです。

つまり妊娠 反応がプラスに出ても、胎嚢が見えずに化学流産となるか、あるいは見えても途中で 成長が止まり流産してしまうケースがあり、 それらは年齢が高くなるほど多くなるとい うことなのです。

その原因のほとんどが卵 子の染色体異常によるものです。

同様に、 胚盤胞まで育った受精卵が着床しないのも 染色体異常、つまり卵子の質による場合が ほとんどだと考えられています。

年齢が若いほど着床しやすく 質の良い卵子が採れる

着床しなかった時に、「私が動いたからで しょうか」とか「薬を飲み忘れたせいでしょ うか」といった質問をたくさん受けます。

ま た子宮内膜に原因があるのではと考える方も いますが、ほとんどの場合はそうではありま せん。

原因の多くは卵子の質にあります。

も ともと戻した卵子が流産すべく運命をもった 卵子だったということなのです。

では着床できる質の良い受精卵をつくるに は、どうしたらよいのでしょうか。

それはで きるだけ若いうちに受精卵をつくるということです。

受精卵が染色体異常をもっているの かどうかは、子宮に戻してみないとわかりま せん。

しかし、年齢が上がり 40 代に近くなれ ばなるほど染色体異常をもつ可能性が高くな ることは間違いないのです。

そのため出生ま でいく卵子の必要数は多くなり、労力とお金 がかかってしまいます。

欧米のデータでは、20 代なら 20 個の凍結胚を確保できれば 1 回は 妊娠できるけど、単純計算で 40 歳では100 個、 45 歳では800個必要だといわれていま す。

それだけ高齢になると染色体異常を含 む可能性が高くなっていくということ なのです。

1 歳でも若い時に受 精卵を確保することが着床、 妊娠の可能性を上げるこ とになります。

なかなか着 床しないと いう時に、 卵子の質を上げる方法、着床を促す良い方法は何かな いのでしょうか。

残念ながら卵子の質は排卵 誘発の方法で多少は変わっても、劇的に良く なることはありません。

低刺激で採卵したか らといって質が上がることはないというのは 最近よくいわれてきていることです。

ただ年 齢が高い場合は強い刺激をしても採れる卵子 の数はあまり変わらないので、それなら低刺 激で毎周期採卵したほうが良いという考え方 もあります。

また、着床率を上げるために糊 のような役割をする、ヒアルロン酸入りの培 養液が使われたりもしますが、実際はそれほど効果はないと思います。

何回か移植をしても着床しない場合、同じ 方法を続けて年齢を重ねるとさらに卵子の質 を下げることになってしまいます。

その場合 は、採卵の方法を変えるなり、思い切って転 院するなりして最善の方法を探しましょう。

そうしているうちに、どこかでポンと質の良 い卵子が出てくる可能性はあります。

最後に、何が何でも妊娠するまで頑張る という考え方を変えて、どこまでやったら 治療は終了するというゴールを決めておく のも一つの道ではないかと思います。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。