子宮卵管造影検査の後、 排卵したようなのに 出血が止まりません

福井 敬介 先生 1989年、日本大学医学部卒業。卒業と同時に愛媛大学産科婦人科 に入局、愛媛大学大学院医学専攻科修了。2000年愛媛大学産科婦 人科学助教授。2001年、「高度な生殖医療をより身近な医療として不 妊カップルに提供したい」と、福井ウィメンズクリニックを開設する。松山 の秋祭りといえば、勇壮な“けんか神輿”が有名。神輿同士を激しくぶ つけ合う迫力あるお祭りが、先生も子どもの頃から大好きだったとか。「お 祭りの後は急に寂しくなって、すぐにクリスマスが楽しみになりましたね (笑)」
エミさん(29歳)からの相談 Q.先日、卵管造影検査(油性)を初めて受けました。その周期の排卵日あたりに 出血し10日間出血し続けています。婦人科では体温が高温期を示しているの で排卵があったのでは?とのこと。そうなれば生理とは考えにくいといわれデュ ファストンⓇを処方してもらいました。見たことのない出血量で、現在10日目 も通常生理2日目の3倍ほどです。ドロッとした経血も多く出ています。鎮痛 剤が効かないほど腹痛があります。ちなみに子宮頸がん、子宮がん、子宮筋腫 などはありません。卵管造影も前回受けた血液検査も異常なしでした。ホルモ ン異常にしても出血量が多すぎると思うのですが。どうかご教示ください。

子宮内膜は黄体ホルモンだけでは

子宮卵管造影検査を受けた後の出血量に、異変を感じておられます。出血は検査やホルモン異常の影響が考えられますか?
福井先生 まず基礎体温が高温期になっているところを見ると、排卵しているのに多量に出血するというのは、月経のメカニズムとしてつじつまが合いません。
ご心配のように、もしかすると子宮卵管造影検査のチューブが刺激となり、子宮内膜に刺激が加わり破綻したことによる出血の可能性があります。
そうであれば、黄体ホルモンのデュファス トンⓇだけでは出血は止まりませんので、止血剤プラス、黄体ホルモンと卵胞ホルモンのEP配合剤を服用する必要があると思います。
子宮内膜は一度破綻すると、黄体ホルモンだけでは再生することができません。
まず卵胞ホルモンによって子宮内膜を増殖させながら、黄体ホルモンの作用で安定させていく必要があります。

失血することはある?

検査の刺激によって出血するというケースは珍しくないのでしょうか?
福井先生 造影検査で使用するチューブ自体は直径3㎜くらいですけれど、バルーンカテーテルといって、卵管の中で風船のようにバルーンを膨らませて抜けないようにするので、その刺激が影響して出血するケースが時々見られます。
造影剤を入れる際にはかなり卵管に圧力がかかりますから、それが負担になり、強く痛みを感じる患者さんもいらっしゃいます。
造影剤は近年、ほとんどの施設で油性のものを使用していますので、あまり関係ありません。
それよりもバルーンカテーテルの刺激と造影剤の圧力の刺激で子宮内膜が破綻したのだろうと思います。
施設では検査の前に、検査の影響で出血が あるかもしれないという説明があったと思うのですが。
当院で時々見られるケースは、検査後に少しずつ出血しながら、最後に月経様の出血につながるケースです。
「排卵日あたりから」ということですが、もしかすると多量に出血する前から、少しずつ出血していたのではないでしょうか。

一度、リセット

もしかすると排卵していない可能性も?ほかに考えられる出血の原因はありますか?
福井先生 もともと月経不順がないということですから、ホルモン環境の異常は考えにくいのですが、もし基礎体温だけを見ておられるとすれば、一度、排卵に関係するホルモンの検査をきちんとされたほうがいいかもしれませんね。
その際、出血が多いということで貧血が心配ですので、貧血の検査もされたほうがいいでしょう。
出血については、前述のEP配合剤や止血 剤を使用することで止まりますので、それほど心配することはありません。
次の周期に何か影響をもたらすということもないと思いますので、まずはきちんと出血を止めることが大切です。
月経を起こし直す、簡単にいえばリセットすることによって、一度、月経周期を整える必要があるでしょう。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。