卵子の老化の要因は年齢だけじゃない

卵子 の老化の要因は 年齢だけじゃない!!

一概に「卵子の老化」といっても、年齢が起因する場合もあれば、生活環境やストレスによる場合 もあります。

なぜ老化するのか、そして、老化が不妊にどう影響するのか、セント・ルカ産婦人科 の宇津宮隆史先生に答えていただきました。

宇津宮 隆史 先生 熊本大学医学部卒業。1988年九州大学生体防御医学研 究所講師、1989年大分県立病院がんセンター第二婦人科 部長を経て、1992年セント・ルカ産婦人科開院。国内でい ち早く不妊治療に取り組んだパイオニアの一人。開院以来、 妊娠数は7,000件を超える。O型・おひつじ座。今まで以上 に高度な医療を患者さんに提供できるように、さらなる高みを目 指してチャレンジを続けている字津宮先生。多忙な日々を送っ ている先生のストレス解消法は登山とのことで「今秋には信州 の山に登る予定です」と笑顔で語ってくださいました。

ドクターアドバイス

定期的な検査で、 常に自分の体の状態を把握

卵子は、生まれた時すでに 数が決まっていて、減少す る速度や質は生活環境やス トレスが影響する場合があ ります。

ホルモンの数値を 定期的に調べるなど、 自分が今どのよう な状態なのかを 細やかにチェッ クしましょう。

卵子の老化基礎知識チェック!!!

〇卵子の老化はホルモンの数値で判断

〇サプリメントは、補助的な役割としてならマル

〇卵子だけでなく精子も老化する

✖卵子の老化は自覚症状がある

✖サプリメントが若返りに効く!

✖卵子は老化し、精子は老化しない

卵子が老化しているのは、見た目で もよくわかる。20 代の卵子は円形、 30 ~ 40 代になると、いびつな形も 多くなってくる。

卵巣機能の状態は、 経年による細胞の老化と ホルモン値が目安に

卵子の老化は、特別なことのように思わ れるかもしれませんが、単純にひとつの細 胞の老化ととらえてみてください。

細胞の 中にはいろいろな器官が詰まっていて、代 表的なものではミトコンドリアの存在を 知っている人も多いでしょう。

ミトコンド リアは細胞の活動に必要なエネルギーを生 産しますが、年々数が減少し、細胞の機能 を低下させるため、年齢を重ねることが卵 子の老化につながります。

年齢だけで見ると、 20 代の卵子は美しい 円形ですが、 30 〜 40 代はいびつな形が多く 見られます。

とはいえ、同じ年齢の人がす べて同じレベルというわけではありません。

20 代でも卵巣年齢が高く、機能が低下して いる人もいます。

40 代の人が 30 代の卵巣年 齢の場合もあります。

卵巣機能の低下には、ストレスが大きく 関わっているという考え方もあります。

ス トレスを強く感じることで脳下垂体からの ホルモン分泌異常が起こり、卵巣内のホル モンバランスが崩れます。

月経不順も同じ 理由でストレスが原因になる場合が多いよ うです。

わかりやすい例としてはアスリー ト無月経が挙げられます。

女性アスリート は肉体的に過度のストレスを感じ続けてい る状態であり、それが原因でプロラクチン が多量に分泌されます。

プロラクチンは乳 汁分泌ホルモンであり、分泌量が高いと妊 娠していると体が錯覚することから、無月 経になります。

精神的ストレスも同様で、たとえば職場 の人間関係や友達関係などで、さまざまな 精神的ストレスを感じると、LHFSH など性腺刺激ホルモンの分泌を促す性腺刺激ホルモン放出ホルモンGnRHが減少し、 卵巣機能が低下します。

年齢が高くなるほど、 排卵のメカニズムにも 細やかな対処が必要

脳下垂体からLHが分泌されると、卵子 は減数分裂を起こし、それと同時に卵胞壁 が炎症を起こしたような状態で張ってきま す。

張ってもろくなった卵胞壁が破れて、 中から卵子が飛び出すことを「排卵」とい います。

しかし、年齢の高い患者さんのな かには、採卵時にすでに排卵してしまって いるというケースが多々あります。

アンタ ゴニストを使ってLHの分泌を抑えている はずなのに、もともとの卵胞壁がもろいた め破れてしまっている、というケースです。

そこで、当院では採卵前に排卵してしま う可能性がある患者さんへの処置として、 痛み止めの座薬を使います。

卵胞壁は炎症 を起こしたような状態で張ってくるので、 炎症反応を抑えながら排卵をコントロール するという理屈です。

健康体で正常な卵巣 機能の人が排卵の頃に痛み止めを使うと、 逆の現象が起きます。

壁面がしっかりした まま炎症反応も抑えられているため破れず、 排卵せずにそのまま黄体期に入ってしまう のです。

この辺は、個々の状態を見極めて、 細やかな対応が必要です。

近年の研究で判明! 男性の精子も老化する

卵子の老化は自覚症状がないため、自分で は判断できません。

そのため、AMH(抗 ミューラー管ホルモン)を調べるのは必須で す。

E2、LH、FSHなど女性ホルモンの数値も必ず調べましょう。

不妊における老化は、女性の側ばかり話題 になりますが、最近の研究では男性の精子も 老化することがわかりました。

ただし、男性 と女性では「老化」の意味が異なります。

卵 子は胎児期にすでに発生していて、年齢とと もに減少します。

精子は第二次性徴期を迎え ると幹細胞が働き始め、減数分裂を起こしな がら毎日1億個ほどが誕生します。

しかし、 高齢になるとその減数分裂の途中で異変が起 きやすくなります。

典型的な染色体異常とい うような出現の仕方ではなく、小さな異常で しかありませんが、精子は数が多いため頻度 は高くなっています。

精子は年齢に関係ない といわれていましたが、今後は男性の老化に ついてもしっかり考える必要があるでしょう。

生活習慣を見直すことで 老化を遅らせることは可能

老化した卵子を若返らせる方法は、残念 ながら今はありません。

そんななか、女性ホルモンや男性ホルモンの生成を促すDHEAという成分に注目が集まっています。

直接的な効果があるとは断言できませんが、 体内で生成されるホルモンをサプリメント で服用できるという点で、気軽に取り入れ られています。

当院でも処方する場合があ りますが、D H EAは男性ホルモンの数値 を大幅に上げますから、期間を区切って服 用していただくようにしています。

また、 抗酸化作用のあるビタミンC、Eなども併 用していますが、基本的にはいずれも絶対 的なものではありません。

それよりも、基礎体温を上げることを心 がけていただきたい。

今は冷え性の女性が 確実に増えています。高温期の体温が基礎 体温表の低温相にやっと届くという患者さ んが多いため、当院ではグラフを作り替え たほどです。

季節感のない食事によって体 温が下がりやすくなっていることや、生活 環境、ストレスも関わってくるのでしょう。

病気など決定的な原因がなければ、日常生 活を見直し、自分自身の体や気持ちと向き 合うことも一つの手段として有効です。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。