不妊治療に興味がありつつも、スタート前にはさまざまな疑問や不安が湧いてきます。仕事との両立はできるのか。診察にかかる所要時間や通院回数はどのくらいになるのか。準備しておくことは何か。不妊治療を始める前に知っておきたい基本的な内容を、福井ウィメンズクリニック院長の福井先生にお聞きしました。
通院回数はどのくらいですか
検査を一通り行う場合は、3~4回の受診が必要です。タイミング法や人工授精では1周期に3~4回程度の通院が必要で、診察内容は超音波による卵胞チェックやHCG注射後にきちんと排卵できているかどうか確認します。
排卵誘発を行って体外受精を伴う場合、まずは排卵誘発のスケジュー ルを立てます。最初にスケジュールを立てるのが非常に大事です。2~3回目には卵胞発育を検査し、採卵日を決めます。そして4回目に採卵、5回目に移植をして、6回目に移植後の経過をみます。最後に妊娠判定をしますから、最低でも6回、多い方で7回来院いただくことになりますが、移植せず途中で凍結する場合は5回の通院ですみます。
一度凍結した胚を移植する場合は、最初にスケジュールを立て、2回目に移植日を決め、3回目に凍結胚移植をして最後に判定となるので、4回の通院ですみます。凍結胚を用いる事で、一度休憩ができ、自分のスケジュールに併せて移植日が調整できる点もおすすめです。
診察時間はどのくらいですか
待ち時間を除き、診察はおもに画像診断、血液検査、医師やスタッフからの説明に時間がかかります。
血液検査のうちホルモン検査は数10分で結果が出ますが、そのほかは1週間程度かかります。画像診断では超音波は数分で終わりますが、卵管造影検査は 1時間くらいはみておいてください。
説明時間は診療内容により異なり、人によりさまざまです。最も気になるのは待ち時間かもしれません。当クリニックは患者様のスケジュールと相談しつつ治療ができるように W E B 予約を導入し、待ち時間が少なくなるようにしています。
仕事は休まなければいけませんか
当クリニックに来られる患者様の多くが共働きのご夫婦です。人工授精やタイミング法は、働いているご夫婦の場合は、排卵のタイミングに合わせて出勤前と終業後に来院してもらえば、うまくやりくりできます。
また体外受精の場合、排卵は早めることができませんが、内服薬で遅らせることは可能ですから、仕事が忙しいころを避けて採卵することもできますよ。たとえば人工授精の場合、朝の出勤前に旦那様に来院してもらって精子を受け取り、夕方までに洗浄や濃縮などの適切な処理をしておきます。
奥様には仕事が終わってから来院してもらい人工授精をすれば、ご夫婦それぞれ仕事を休むことなく効率よく不妊治療ができますね。最近ではテレワークを導入する企業が増えていますが、ご自宅の近くにクリニックがある方は、お昼休憩の時間などをうまく活用して不妊治療に取り組めるのではないでしょうか。そうした意味では、徐々に不妊治療に取り組みやすい世の中になってきているように思えます。