8回移植しましたが 化学流産の繰り返し。
移植を続けても大丈夫?
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向田 哲規 先生 Q.高知医科大学卒業。同大学産婦人科医局に入り、不妊治療・体外 受精を専門にするため、1987年、アメリカ・マイアミ大学生殖医 療体外受精プログラムに在籍、1990年から5年間NY・NJ州の ダイヤモンド不妊センターに在籍後、1996年より広島HARTクリ ニックに勤務し、現在院長として臨床に従事する。「昨年・今年と 広島HARTクリニックに海外から訪問者が複数来られ、クリニッ クの見学だけでなく、世界遺産が2つある広島の良さも知って頂 くようアレンジし、日々の臨床と同じく『おもてなし』の心で対 応しながら、日本・広島の良さを伝えるようにしています。」
えみたんさん(34歳)からの相談 Q.2人目不妊です。再婚で治療開始2年半、卵管閉鎖です。一度目の採卵で16個採れ たのですが、受精6個、新鮮胚5個でした。6個とも6回の胚移植までいったものの 陰性で、そのうち2回着床しかけて化学流産しました。今回2回目の採卵(ロング法) し、18個のうち受精12個、顕微授精1個でした。最終数は6個で、顕微授精さ せた卵はダメでした。リンス法での新鮮胚の移植結果は陰性7回目です。今回8回目 の胚盤胞グレードAで化学流産しました。HCGの数値が3.4しかなく、ネットで調べ るとHCGの数値が100ないと妊娠は難しいという意見が多かったのですが、先生は 20あればいいとのことでした。それでも全然足りてないのですが、化学流産を8回中 4回。先生には「着床していないと全然数値が出ないから、着床しかけているから大丈 夫」といわれました。本当にこのまま移植を続けて結果が出るのでしょうか?
卵子が全ての始まり
えみたんさんは8回の判定すべてが陰性でし た。これまでの治療法についてご意見をお聞 かせください。
向田先生 えみたんさんは 34 歳で、卵管閉鎖 のため体外受精を受けており、 1 回目の採卵16 個、 2 回目の採卵 18 個と十分卵子は採取で きているので、卵巣機能は基本的に問題ない と思われます。
また出産経験があることより、 子宮も問題ないと思われます。
質問内容から は具体的にどのような治療を受けておられる のか判りませんが、基本的に同じ方法を繰り 返されているのではないかと思います。
採卵されるすべての卵子が良質ということ は一般的になく、 1 回に 10 個以上採卵される 場合でも、挙児に至る卵はその一部であった り、またはその周期には存在しないことも起 こり得ます。
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全ての受精卵を 1 個ずつ移植し、8 回胚移植を行ったのに挙児にならない点は 精神的にもつらい状況と思いますが、これら の中に挙児に至る卵はなかった可能性があり、 卵が得られる 34 歳で出産既往もあることから 可能性は十分あると思います。
誘発法の変更
では、えみたんさんは今後どのような治療を 進めたらいいでしょうか?アドバイスもお 願いします。
向田先生 これまで陰性だったというのは、 その周期に採れた卵子の質が良くなかった と判断し、ロング法からアンタゴニスト法 へと誘発法を変更してみます。
たくさん卵 子が採れるタイプの人は、エストロゲンと いう女性ホルモンの値が高くなり、卵巣も 腫大していることが多いため、新鮮胚での 移植は着床率の点からも適切とは言えませ ん。
この場合お勧めするのは、受精卵を採 卵後 5 ~ 6 日目まで培養し、胚盤胞に達し た胚のみを低温保存し、その後の周期に移 植する凍結保存胚融解移植法があります。
着床しやすい状態の子宮内膜を準備するた め、ホルモン剤の内服や貼付法を用いるか、 または自然排卵周期でアレンジします。
更 に子宮鏡を用いて子宮内腔に異常がないか