病院に通う回数を最小限にして妊娠したい

通院する回数を減らしたい。

ホルモン補充だけなど、 効率的に妊娠する方法は?

福井 敬介 先生 1989年、日本大学医学部卒業。卒業と同時に愛媛大学産科婦人科に 入局、愛媛大学大学院医学専攻科修了。2000年愛媛大学産科婦人 科学助教授。2001年、「高度な生殖医療をより身近な医療として不妊 カップルに提供したい」と、福井ウィメンズクリニックを開設する。「11月か ら動画で受精卵の様子を記録する『タイムラプス』の導入台数を増やし、 原則的にすべての患者さまに受けていただくことになりました」と先生。
あんパンさん(40歳)からの相談 Q.タイミング法で1回、体外受精で1回妊娠するも初期流産。経済的に体外受精はもう 無理なのでタイミング法に絞りたいのですがフルタイムの仕事なので、毎週病院に 通うのはかなりストレスです。体外が終わってからはしばらく自己タイミングでトラ イしていましたが、最近生理が少なく生理前に茶オリが4〜5日も続いて(体温は 高温期)結局生理になり高温期が10〜11日くらいしかありません。初めてのクリ ニックで黄体ホルモンの補充をお願いしましたが、卵の質によって黄体ホルモンの 量は変わってくるのでホルモン補充だけでは意味がないという意見でした。病院に 極力通わずに妊娠する方法はないでしょうか。

黄体ホルモンは補足的なもの

タイミング法を行う際に、黄体ホルモンを 補充すると妊娠しやすくなるのでしょうか。
福井先生 あんパンさんは、体外受精はせず に自己タイミング法で頑張ろうと思ってい らっしゃるようですね。
それを補助するため に黄体ホルモンの補充を求めたようです。
しかし、その場合は黄体ホルモンを内服補 充してもとくに効果は得られ難いのではと思 います。
黄体ホルモンの補充は、漫然と内服 をしても妊娠率は上がらず、超音波で卵胞を チェックしながらHCG注射を打った方が効 果的です。
体外受精でも内服だけの黄体補充 では妊娠率は上がらないことが知られていま す。
黄体ホルモン内服はあくまで補足的なも のではないでしょうか。

排卵前後の通院だけでも…

会社を休んで病院に通うことが難しい人が 病院に通う回数を極力減らしながら妊娠でき ればいいのですが。
福井先生 ご本人の生活スタイルを崩しては ストレスになってしまうので、無理強いはで きません。
けれど、最低でも排卵期と排卵後1 週間の黄体期に検査と治療を受けてほしい と思います。
あんパンさんの場合、 40 歳とい うことですがタイミング法で自然妊娠した経 験があるわけですし可能性がゼロというわけ ではありません。
タイミング法をサポートす る意味で、毎週は無理でも月に 2 回は通院で きないでしょうか。
月に 2 回通院した場合は、どのような治療 を受けることになるのでしょうか。
福井先生 排卵期に超音波検査を受けてHC G製剤の注射をします。
そして、その 1 週間 後にちゃんと排卵できたかどうかを確認し、 その際にまたHCGを注射するなど治療を行 います。
それが不妊症治療に必要な最低限の 管理だと思います。
通院せずに内服薬だけで 不妊治療をしようとなるとなかなか難しいと 思います。

婦人科疾患の検査も

あんパンさんがタイミング法で妊娠するために、気を付けたほうがいいことはあ りますか。
福井先生 あんパンさんのデータに、「茶オ リが出る」とあるのが心配です。
この茶オリ がホルモンバランスによるものなのか、婦 人科系の疾患によるものなのかが気になりま す。
不正出血の場合は、病気にかかっている サインであると考えられます。
子宮内膜ポ リープや子宮頸管ポリープ、子宮頸がん、子 宮体がんなどの疑いもありますので、一度、 婦人科系の検査をしてください。
ホルモン検 査、超音波検査、ファイバースコープ細胞診 といった検査を行うことになると思います。

年齢因子は避けられない

年齢は関係するのでしょうか。
福井先生 40 代の方は、統計では自然妊娠は もちろん人工授精でも成功する確率が低くな ります。
たとえば、胚盤胞ができる人もいま すが、そこから着床しなかったり妊娠しても 流産したりと次のステップに進むのが難しい ことが多いです。
残された 時間がない中で早 く妊娠してほしいこともあり、僕なら体外受精をおすすめしたいところです。
一方で経済的な負担も考えなければならな いので、無理強いはできません。ご夫婦で優 先順位を決めていただいて、その範囲ででき ることをお手伝いしています。
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