タイミング法での排卵誘発。 HMG注射を続けても 卵胞がなかなか成長しません

柏崎 祐士 先生 京都府立医科大学医学部卒業。2000年まで日本大学板橋病院で主 に不妊治療に従事し、その間、米国エール大学医学部産婦人科で研修。 その後、「かしわざき産婦人科」副院長に。日本生殖医学会生殖医療専門 医、日本産科婦人科学会認定医。O型・おとめ座。オフでは、久しぶりに来 日したローリング・ストーンズのコンサートへ。ファンの証であるベロマークの 服を着て! 最近は“独りライブ鑑賞”にハマっていて、思う存分弾けたそう。 意外にワイルドな一面もある先生です。
ちゃんさん(34歳)からの相談 Q.今、タイミング療法で不妊治療をしています。夫婦ともに問題はなかったのですが、 卵胞の育ちが悪いようで、今月からHMG注射を75+150、注射しています。月・ 火・水・金・土と打っていますが、卵胞はなかなか成長しません。この注射は打ち続け ても問題はないのでしょうか。また、ずっと打ち続けて卵胞が育つのを待つより、体外受精へのステップアップを考えたほうがいいのでしょうか? ちなみにAMH値は 4.54ng/mLです。

体重とホルモン

HMGの注射を打ち続けても卵胞が育たないということですが、これはどんなことが原因だと考えられますか。
柏崎先生 AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が4・ 54 ng / mL とのこと。
これはまったく正 常の範囲と言えますね。
ほかに異常なところはなく、年齢も 34 歳ですから、本来ならHMGで反応するはずだと思います。
少し気になるのが体重です。
ちゃんさんは、 身長149 cm ・体重 38 kg 。身長が低めではありますが、体重が 40 kgを切るのは要注意です。
体重減少性があると、脳下垂体からのホルモンが分泌不全になることがあります。

脳下垂体の機能の改善のため

注射をして補充してもダメなのですか?
柏崎先生 ちゃんさんは、どのようなHMG製剤を使われているのでしょうか。
不妊治療で使われるHMG製剤には2種類あって、1つはヒト閉経後ホルモンといってLHFSHという2つのホルモンが入っている製剤、もう1つは現在広く使われているリコンビナントという薬で、これは遺伝子組み換え技術を用いてFSHだけを純化したものです。
体重減少が原因かどうかははっきりわかりませんが、もし何らかの原因でFSH、LHともに分泌不全になっているということであれば、FSHだけ入った製剤だと効き目が薄いので、LHも入った薬に切り替えたほうがいいかもしれませんね。
それでも改善しない場合は、下垂体の機能 不全がかなり悪いと考えられるので、不妊治療は少しお休みして、ピルで何回か見せかけの生理を作り、リセットしてみるのも1つの方法です。
そうして刺激を緩めると、脳下垂体の機能が改善してくるケースもあります。

LH - RHテスト

ほかに原因は考えられますか。
柏崎先生 卵巣というのは、脳下垂体のホルモンから命令を受けて女性ホルモンを分泌するのですが、司令塔である脳下垂体はそのさらに上にある視床下部というところから命令を受けています。
これは、LH -RHというホルモン。
もしかしたら、ちゃんさんは脳下垂体の機能が悪いのではなく、脳下垂体を刺激するホルモンの分泌が悪いということも考えられます。
それは簡単にわかるのでしょうか。
柏崎先生 LH - RHテストという検査をすればすぐにわかります。
このホルモンはパッと出て、またお休みしてというパルス状の微妙なリズムで分泌されているので、HMG注射のように毎日注射して治療するというわけにはいかないんですね。
もしLH - RHホルモンに問題がある場合は、120分ごとにこのホルモンをポンプで一定量注入できるように、腹部などの皮下に細い針を刺して絆創膏で固定し、治療をします。
それを2~3週間も続ければ、成熟した卵胞ができてくるはずです。
やみくもに同じ治療を続けるのではなく、疑問を持ったら、自分はどこに異常があるのか、なぜその薬を使うのか、先生にしっかりお聞きになったほうがいいと思います。

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