体外受精を希望しています

排卵誘発しても卵胞は1個。

海外で、体外受精しても 意味がないと言われました 海外の病院で「卵巣の反応が低いので体外受精はできない」と言 われた場合、どうすればよいのでしょうか。

日本との治療の違いを 踏まえて、ファティリティクリニック東京の小田原靖先生にお聞きし ました。

小田原 靖 先生 東京慈恵会医科大学卒業、同大学院修了。1987年、 オーストラリア・ロイヤルウイメンズホスピタルに留学し、チー ム医療などを学ぶ。東京慈恵会医科大学産婦人科助手、 スズキ病院科長を経て、1996年恵比寿に開院。AB型・ みずがめ座。いつも物腰のやわらかい小田原先生ですが、 最近、自問自答されることが多いそう。「この仕事に携わって だいぶ年月が過ぎ、いろいろな状況が変わってきています。 そんななかで、今何をすべきなのか、僕らは患者さんのため に何をしたらいいのかを考えている日々です」。常に患者さ んのことを第一に考えてくださっています。
みいたんさん(41歳)からの相談 Q.現在、ヨーロッパ在住で、現地の不妊科に通院しています。体外受精を希望しており、生 理が始まると担当医の指定日に診察を受けています。この国では、通常2~3個の受精 卵を移植するようで、医師いわく、私は卵胞数が1個しかないため、体外受精をする価値 がないとのことです。以前、排卵誘発剤も試しましたが効果は出ず、やはり卵胞は1個し かできませんでした。診察と血液検査の結果から、私の年齢では妊娠は極めて難しいと のことで、卵子提供を考えてみたらと言われました。 今年4月には日本に帰る予定で、その後、日本の不妊科を受診したいと思っています。こ のような私に、何か良い治療法はあるのでしょうか。

●これまでの治療データ

検査・ 治療歴

38歳の時、子宮外妊娠
不妊治療歴は1年。
排卵誘発剤を使っても、 卵胞が1個しかできなかった。

不妊の原因 となる病名

特になし

現在の 治療方針

生理9日目に受診し、排卵日を推測し、排卵日に自己注射。
その後、指定された日から14日間、腟にジェル状のホルモン剤を 投入。

精子 データ

良好

海外と日本の不妊治療

みいたんさんは、ヨーロッパの病院で治療を受けてきたそうです。海外と日本では治療法に違いはあるのでしょうか。
小田原先生 海外では、国によって、治療に関する制約や保険適用などの状況がかなり違います。
たとえばヨーロッパでも、ベルギーは比較的患者さんの要望に沿った幅広い治療ができますし、健康保険の適用の範囲もかなり広いです。
一方で、治療自体の制約がかなりある国もありますし、健康保険がきかない国もあります。
イタリアでは、未受精卵は凍結できるので すが、受精卵は新鮮胚でしか戻せません。
これは「受精卵は命の発生だ」という考え方で、採卵で複数の卵子が採れたとしても、未受精卵の状態でいくつか凍結し、残りをその周期に移植するしかないという状況になります。
このように、治療の制約が国ごとに違いますので、ヨーロッパでは、状況によっては別の国に行って治療を受けるという方もいらっしゃいます。
日本で一般的に行われている胚盤胞移植に 関しても、海外では決して技術が遅れているという意味ではなく、それが本当に有効かどうかという議論のなかで、まだ取り入れていない国もあるのです。

価格面から考える

卵胞が1つしかできないので、体外受精をしてもらえないとのことです。これについては、どうお考えになりますか?
小田原先生 みいたんさんは現在 41 歳で、卵子の数もあまり採れないということですね。
一般論として、国内、ヨーロッパにかかわらず、かなり妊娠が厳しいという状況に変わりないとは思います。
人種によって薬の反応性に若干差もありますし、みいたんさんのように卵巣刺激に低反応の方に対して、どこまで治療するかというのも国によって違います。
養子縁組や卵子提供が行いやすい国なら、治療をあまり深くせずに、そういった選択肢をすすめる国もありますね。
実際、みいたんさんも卵子提供をすすめられたということですが、低反応の方に対して、低刺激で治療していくということが、海外では決して一般的ではないので、治療の有効性や妊娠率を考えると、そういうことはしないという国も多いのです。
ですので、その国、あるいはその医師の考え方で、別の選択肢をすすめられたのでしょう。
海外で治療を続けられる場合は、その国で できる範囲で治療するしかないという状況はあると思います。
かかっておられる先生に、日本の状況や、日本人の卵子提供や養子縁組に対する考え方などをご理解いただいたうえで、卵胞が1個でも治療してもらえるかどうかではないでしょうか。
それが難しいようであれば、そういった治療が可能な近隣の国に相談に行くという方法も考えられますね。
あとは、みいたんさんが住んでいる国の保険適用がどうなっているかです。
もし保険がきいて、かなり低い費用で治療を受けられるのなら、なんとかそちらで交渉しながら頑張るという考え方もあります。
逆に、保険適用外でかなりの費用がかかるのなら、交通費がかかっても日本に来て治療をするという選択肢もあるかなと思います。

日本でも治療の違いがある

みいたんさんは4月に日本に帰ってこられる予定だそうです。
小田原先生 一時帰国なのか、それともずっと日本にいるのかが書いていませんね。
もし、しばらく滞在されるのであれば、日本で日本人の状況をわかった医師のもとで治療を受けたほうがいいと思います。
日本のクリニックでも、卵巣刺激を主体とする施設と、そうでない施設がありますが、こういう状況ですと、ある程度選択肢は限られてしまうので、どこのクリニックに行ってもそれほど治療の方法論で大きな差は出ないと思います。
具体的な治療法としては、クロミフェンかアロマターゼ阻害剤のフェマーラ ® で低刺激の誘発をして、1~2個の卵子を採って体外受精し、3日目の分割胚を凍結する。それを4~5個くらい得られた段階で胚移植をしていくというプロセスになると思います。
もしまたヨーロッパに戻られるなら、カウンセラーやコーディネーターが充実している国は、患者さんとクリニックの間で調整や話をしてくれますので、そういった制度を利用して、ご自分の意見をクリニックに伝えていくという方法も試してみるといいと思います。

卵管因子の可能性

最後に何かアドバイスがありましたらお願いします。
小田原先生 エビデンスが確立されているものではありませんが、卵巣機能を改善する効果が期待されるDHEAの服用や、骨盤の血流改善を目的とした漢方やビタミンを併用して試してみるといいかもしれません。
また、子宮外妊娠を一度されているという ことで、卵管の問題があると思います。
ただ、妊娠できたという事実はあるわけですし、どちらか片方の卵管がまだ正常に機能している可能性はあるかもしれませんので、治療の柱としての体外受精以外にも、ご自分で排卵だと思われる時に排卵日検査薬を使ってタイミングをとっていくといいと思います。
毎月排卵するなかで、良い卵子が出てくる可能性はゼロではありませんので、治療以外にも積極的にトライされるといいでしょう。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。